恭也が龍に入ってから二ヶ月がたった。

 その間に恭也は的確な事務仕事と任務達成率百%という数字を出すことにより龍の構成員から幹部にまで信頼を得ていた。

 

 信頼を得ていると同時に恭也は畏怖を送られていた。

実の母親を平然と殺してまで組織に忠誠を誓う。

また、美沙斗に情報を与えて操る事を進言し、身内さえも売るその忠誠心。

自分が組織を裏切ったならば、例え恭也と親しくなっていようとも殺されるという恐怖が根付いていた。

 

 恭也は唯、家族を護りたい一心で殺してきただけなのに。

 

 それが恭也の氷狼という名を広めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語られる真相

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「相変わらず、氷狼は帳簿をつけるのは的確ですね」

「そんな事は無い。赤龍以外なら誰だって出来ると思うぞ。泊龍」

 

 恭也の言葉に泊龍は笑って返すしかなかった。

 たしかに赤龍以外ならば恭也並みにとは言わずともそれなりに早くこの仕事を終えることが出来る。

 赤龍が違う意味で規格外なのだ。

 

「おっしゃー!!!!!! 終わったぁ!!!」

 

 赤龍がもろ手を挙げて喜びを表していた。

 その赤龍に水を差すにように泊龍は赤龍の机に近づき、赤龍が終わったと言う書類に眼を通していく。

 その姿を息を呑んで見つめている赤龍。

 

 泊龍の判断で赤龍は帰れないという図式がこの部署では当たり前のようになっていた。

 赤龍の方が階級が上にもかかわらず。

 

「はい、大丈夫です。今日は帰っていいですよ」

 

 珍しく泊龍からの一発許可。

 

「よっしゃ!!!」

 

 声をさらに上げて赤龍は喜ぶ。戦闘は得意でも事務仕事だけは本当にダメなのだ。

 

(これから、槍の雨でも降るか?)

 

 恭也はこの二ヶ月で初めて見る現象に現実逃避をしていた。

 他の構成員たちも眼をこすったり耳を叩いていたりと目の前の光景を信じきれていなかった。

 

「さぁて、氷狼。酒でも飲みに行こうぜ!! この前、いい店見つけたからよ」

 

 その誘いに恭也は顔をしかめた。

 

 

 恭也は士郎と違って酒が飲めない。というよりも酒の味がよく分からないだけで酒には決して弱くない。

 以前、酒豪と自他共に認めている赤龍とのみ比べをして赤龍を撃沈させたのが恭也が酒に強いという証拠だろう。

 それでも酒の味が分からない恭也は依然、自らを下戸と称しているが。

 

 

「俺は下戸だ。それ以前に未成年だ」

「んな事言うなよ。いいじゃねぇか、偶にはよ」

 

 赤龍のその言い草に恭也は桃子が未成年であるはずの自分に酒を勧めたことがあるのを思い出し、僅かに微笑んだ。

 そのお陰で、部署内の女性が一時停止したのは言うまでもない。

 

「まぁ、偶にはいいだろう」

「そうこなくっちゃな」

 

 久しぶりに上機嫌の赤龍と、赤龍と共に時間を過ごすことを悪くないと思っている恭也の表情は緩んでいた。

 

 

 

 

 

 

 だが、現実とは常に非情なものだ。

 

 

 

 

 

 

「赤龍、氷狼。任務だ」

 

 以前、恭也を呼びに来た男が恭也と赤龍を呼び止める。

 その事に赤龍は思いっきり嫌な顔をした。

 それはもう、見ていて分かるぐらいの落胆振り。

 

 それでも任務に内容と確認しようと赤龍は男から手紙を受け取った。

 

 その瞬間に赤龍の表情が変わる。

 普段の不真面目な顔ではなく、戦場に出る前と同じ引き締まった顔を。

 

 恭也も任務が何かとその書類を見たときに表情が変わった。

 全てを凍てつかせるほどに表情の消えた顔に。

 

 

 その任務は大老直筆の任務。

 今度は裏切り者の抹殺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『現在、ターゲットは市街地を走り、港へと逃亡中』

「了解した。先回りをする」

 

 恭也は手に持っている通信機を口から離し、赤龍に顔を向けた。

 

「あぁ、さっさと行くぞ」

 

 赤龍愛用のバイクの後ろに恭也は跨り、急発進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 港の倉庫で、恭也たちは息を潜めて、目標を待つ。

 そんな中、赤龍は困惑したような表情をしていた。

 

「どうした?」

 

 そんな赤龍を不思議に思ったのか恭也は疑問をぶつけた。

 これまでの共同作戦で赤龍がこんな表情をしたことはない。

 

「いや、なんとなくこの任務がおかしいと思ってな」

 

 赤龍はその思いを確認するためにさらに書類を捲る。

 しかし、それがさらに赤龍に不信感を抱かせた。

 

「何がおかしい?」

「目標である紫龍が龍を裏切るって言うのが信じられない。俺と大老に信頼を得ている紫龍が裏切る理由が思い浮かばないんだよ」

 

 赤龍は目標である紫龍をよく知っているようだ。

 だからこそ、この任務が与えられたことを信じきれない。

 

 そんな赤龍に反して恭也は冷静だった。

 別におかしな事ではない。

 今まで信頼を得ていたとしても本当に忠誠を誓っているわけではなかった。もしくは心変わりした。

 そんな程度だろうと恭也は考えていた。

 

 

 

 

 

 そんな二人をよそに、倉庫の内部がざわめいてくる。

 目標が漸く到着したようだ。

 

「赤龍、考えるのは後だ。捕まえてから何かを聞くこともできる。抹殺指定だが、話を聞くぐらいはできるだろう?」

 

 ぶっきらぼうな恭也の言葉に赤龍は安心した表情を見せた。たしかに、話を聞きだしてその後で考えればいい。

 

「そうだな。氷狼、殺すなよ?」

「分かっているさ」

 

 赤龍の言葉に軽く頷き、恭也は八景を引き抜いた。

 

(殺したわけじゃない。それ以外に俺には方法がないだけだ)

 

 赤龍の言葉が、恭也にやけに重くのし掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 赤龍の援護射撃を受けながらも強襲。

 

 突然の発砲音に目標たちは騒ぎ出す。

 突然の事態に目標たちはとっさに反応できない。

 

 精密な射撃は恭也の身体のすぐ横を通り抜けるが、一発たりとも恭也には当たらない。

 銃弾が横を通り過ぎれば恐怖に駆られるだろうが、赤龍と組むことの多い恭也はこれが普通だと思っていた。

 そして、赤龍の射撃には絶対の信頼を寄せていた。

 

 

 

 援護射撃を受けながら、最も近くにいた目標の一人の腕を斬り飛ばし、追撃とばかりに、足に対して刺突を放ち、機動力を奪う。

 

 混乱から復帰した目標たちは敵と判断した恭也に向かって銃口を向ける。

 その銃口から発砲音が聞こえる前に別のところから発砲音が聞こえ、その銃を叩き落していく。

 赤龍のハンドガンでの精密射撃。その銃弾は目標たちの身体に一切当たることなく、銃のみを打ち落とした。

 

 

 

 

 恭也に敵意を持つ目標たちを次々と切り捨てていく。

 その中には決して付き合いの浅くない人物たちもいた。

 その人物たちを傷つけるたび、身体に損傷を負わすたびに恭也の心は軋んだ。

 

(今回は殺すためじゃない。話を聞くためだ。和平の使者は槍を持つ事などしてはいけないが、それでも有利に聞き出すためには傷つけることを厭ってはいけない)

 

 心を凍りつかせて恭也はまた一人傷つける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ」

 

 さすがに分が悪いと見たのか、紫龍は部下と思わしき人物たちを置き去りにして背走しようとしていた。

 

 そんな紫龍に赤龍も気付き行く手を遮るように射撃するが、上手く止められない。

 

「氷狼!! 雑魚は俺に任せろ、お前は紫龍を追え!!」

 

 一番の目標を逃すことは出来ずに赤龍は恭也に紫龍を追うことを指示する。

 恭也に追うことを指示したのは単純に恭也のほうが足が速いからだ。

 

 恭也もその事をよく理解しているので赤龍の指示に反論せずに紫龍を追いかける。

 まだ、その他の目標はいるが赤龍がこの程度に負けるはずがないと恭也はよく知っていた。

 

 

 

 

 

 

 紫龍を追いかけるのは至難ではなかった。

 飛針で黄龍の行く先を誘導したことにより、紫龍を袋小路に追い込むことが出来た。

 

「くっ」

 

 袋小路に追い込まれた紫龍は歯噛みする。

 

「投降しろ、そうすれば話ぐらいは聞いてやってもいい」

 

 恭也は紫龍が話やすい状況を作るために八景を納刀し話かけた。

それでも構えを解くことなく紫龍に話を求める。

 ここですぐに行動できる体勢を維持していなければ紫龍に襲い掛かられてきたときにとっさに反応できない。

 恭也はまだ死ねないのだから。

 

「テメェの性だよ」

 

 紫龍の言葉に恭也は困惑した。

 裏切る理由があったのだから逃走したと思っていたのに、その理由が自分にあるとは欠片とて思いもしなかった。

 

「テメェが大老に気に入られすぎたのがむかついたんだよ!! お前を探ろうとして見つけちまったらこの有様だ!!」

 

 紫龍は恭也を睨みつける。

 だが、恭也は平然とそれお睨み返した。

 来たるべき時がきたのだ。

 最初からこうなることも予測していた。ならば、殺すしか方法はない。

 

 そうでなければ、家族は護れない。

 

だから、今度は殺す気で紫龍に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ」

 

 紫龍は恭也が先ほどと違い、殺す気で襲い掛かっていることをその殺気で理解し、掌サイズの棒を一振りして、棍を作り出した。

 

 接近する二人。

 恭也の間合いに入る前に紫龍が棍で刺突を放つ。

 だが、恭也は前動作から予測をつけていたのか身体をすでにその範囲から少しだけずれていた。

 その恭也の動きに合わせるように、紫龍も棍を薙にかえる。

 

 さすがに、恭也も交わすのは厳しいと感じたのか八景で棍を受け止める。

 そのあまりにも重い薙ぎに恭也は顔をしかめ、もう一度距離を取る。

 

 

 

 

 

 

 近づこうとすれば、棍の連携を出され、背後に回ろうとも棍を振り回され中々、恭也の間合いに持ち込むことが出来ない。

 

(さすがに色の龍の名を持つだけの事はあるか。現時点で対抗できるのはアレしかない。しかし、俺に使えるか?)

 

 攻めあぐねている恭也はそれに対抗できる技を出そうと思うが完成度の低い技では対抗できないのではないかと悩む。

 

 だが、使えなければ勝てない。殺される。

 なら、成功させるしかない。

 

 恭也は八景を納刀し、再度紫龍に接近する。

 

「ははっ、どうした氷狼!! その程度か!!」

 

 近づけないことに紫龍は愉悦を感じていた。

 組織で恐れられている恭也にこのままなら勝つことも出来ると喜びを表していた。

 

 近づく恭也に刺突を放ち、それを恭也は左に避け、それを追う様に薙に棍が変化する。

 

 それを恭也は待っていた。

我流・鬼切

 

右の八景を抜刀、棍に八景は防がれるが、それでかまわない。

 八景が棍にぶつかった直後に恭也はすぐに左の八景を逆手で抜刀し、徹を込めた八景の柄で右の八景の峰にぶつける。

 変則的な雷徹を発生させ、相手の棍を砕く。

 

 その事実に紫龍は驚愕した。だが、ここで終わるような技ではない。

 

 逆手に持った左の八景を右薙に振るい、相手の胸元を切りつける。

 恭也の右半身が捻られる。

 極限まで引き絞った弦から、高速の刺突が放たれる。

 

終重(ついのかさね)・射抜

 

 射抜が相手の中心に刺さる。

 まだ、未完の技ゆえに、相手の心臓を上手く狙えなかった。

 しかし、肺を貫いた。これで終わりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、お前に関わったのが運の尽きかよ・・・・」

 

 肺を貫かれ、呼吸もままならない紫龍はそれでも恭也を睨みつけた。

 

「災いの種に触れたのが悪かったな」

「どういうことだ?」

 

 災いの種と呼ばれても恭也には何か分からなかった。自らを表現する言葉だとは理解できてもそれが何故自分に当てはまるか分からなかった。

 

「はっ・・、知らねぇってか。お前は全ての災いの種なんだよ!! 霊力を持たない人間は災いを呼び寄せる。周りの霊力を吸い取り、幸運を吸い取り、身の回りにいる者を破滅に導くんだよ!!」

 

(コノオトコハナニヲイッテイル?)

 

 そんな思いしか恭也には浮かばなかった。

 だが、何故だろう。それが正しいことだと思えてしまうのは。

 

「はっ、じゃぁこれも知らないよな。御神が滅ぼされたのは大老がお前を欲したからだ。お前が欲しかったから大老は御神を滅ぼした。

 それだけじゃねぇ。お前の父親もそうだよ!! お前が龍に入る条件を整えるために大老が殺せと命じたんだよ!!」

 

 ガツンと頭に衝撃を受けた。

 信じられなかった。だが、その言葉が正しいように思えた。

 

「お前が奪ったんだ。俺から、お前の父親から、御神家から、母親から。そしてこれからお前の家族の幸せを奪うんだよ!!」

 

 家族の幸せを奪う。その言葉が決定的だった。

 

(俺が奪った? 琴絵さんと一臣さんと静馬さんから未来と幸せを奪った? 殺した?

 母さんから幸せを、未来を奪った? 俺が失わせた?

 俺が父さんから未来を奪った? 幸せを奪った?

 美沙斗さんから静馬さんを奪った? 幸せを奪った?

 美由希から美沙斗さんと静馬さんを奪った? 当たり前の日常を奪った?

 なのはから父さんを奪った? いじめられることのない当たり前の日常を奪った?

 かあさんから父さんを奪った? かあさんの幸せを、かあさんの未来を、当たり前の日常を奪った?

 俺がこれからかあさんの、なのはの、美由希の未来を奪う?

笑っていて欲しいと願った、あの三人から俺は全てを奪う?

 命を? 未来を? 幸せを? 全てを?

 オレガウバウ?)

 

「あぁああああああああああ!!!!!!!」

 

 限界だった。耐え切れなかった。

 

 全てが自分に原因があった。

 幸せを願ったのに。誰よりもみんなの幸せを願っていたのに、その自分が全てを奪った? 奪ってしまう?

 自分と言う存在自体が全てを奪った。奪ってしまう。

 

 自分が原因。自分が災いの種。

 自分がいなければ、生まれてこなければ・・・・、全てが奪われることがなかった。奪われる事などない。

 

 

「――――――――――――――――!!!!」

 

 

 理解してしまった。理解できてしまった。

 自分が諸悪の根源だと。自分が幸せを奪う死神だと。

 

 

 

 

 

 

 

「おいっ、恭也・・・恭也! どうした!? 一体何があった!!?」

 

 雑魚を片付けた赤龍が恭也の異変に気付き、すぐに駆けつける。

 恭也は血の涙を流し、絶叫を上げ、震えていた。

 

「くそっ、テメェ!!」

 

 何が何か分からなかった。しかし、それでも紫龍が恭也をこうしたのだけは分かった。

 銃を乱射し、紫龍の命を奪う。

 それでも気が済まない。赤龍にとって頼れる弟みたいな恭也を傷つけたのだ。許せるはずもない。

 

 

 

 銃を弾が切れるまで乱射して漸く赤龍は落ち着いた。

 赤龍が恭也の様子を見れば、恭也は八景を自分に振りかざしていた。

 その眼を見て恭也が真剣だと悟り、慌てて羽交い絞めにした。

 

「離せ! 離せ!!」

「離したら自分に剣をつきたてるつもりだろうが!!

 

 恭也を必死になって抑える。

 だが、思っているよりも力が強い。

 脳に負荷がかかりリミッターが外れてしまっている。

 

「俺が全てを奪った! 俺がみんなの幸せを奪った!! 俺が未来を奪った!!! 護りたいと想う家族から全てを奪うんだ!!

俺など殺してしまえばいい!!! こんな不幸しか呼び込まない俺など殺してしまわなければならない!! 笑顔を、幸せを、未来を奪うことしか出来ない俺など不要だ!!!!!」

 

 赤龍に押さえられながらも八景を振り回す恭也。

 その性で赤龍も傷付くが、赤龍はそれでもかまわずに恭也を離さない。

 

「離せ、離せ!!!!!!」

「ぐあっ!!」

 

 恭也の筋力が限界まで引き絞られ赤龍が吹き飛ばされる。

 

 歯止めのなくなった恭也はその八景を自らの心臓目掛けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、八景が鈍く輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光を見て、恭也は手を止めた。止めるしかなかった。

 

 思い出してしまった。父の言葉を、母の言葉を、桃子の言葉を、美由希の言葉を、なのはの表情を。

 

「恭也、俺にもしもの事があったら、桃子を、美由紀を、これから生まれてくる俺の子を頼むな」

「恭也、辛いかもしれないけど、苦しいかもしれないけど、それでも、例え何があっても生きてくれ。生き抜いてくれ」

「恭也、旅先で怪我なんてするんじゃないわよ? この前みたいなことをしたら、ひっぱたいて商店街の真ん中で恭也に泣かされたって喚くからね」

「恭ちゃん。ちゃんと帰ってきてね?」

「あぅああ〜!」

 

 忘れられるはずもない父の願いと、母からの最後の願い、桃子からの願い、美由希の願い、なのはの悲しい表情。

 

 それが恭也を押し留めた。

 

 死にたかった。殺したかった。

 こんな不幸しか呼び込まない自分など殺しつくしたかった。

 

 しかし、そんな自分でも生きていることを願う母がいた。

 そんな自分を信頼して家族を任せると言った父がいた。

 そんな自分でも気にしてくれる桃子がいる。

 不幸しか呼びこまない自分の帰りを待っている美由希がいる。

 どうしようもない自分との別れでさえも悲しんでくれるなのはがいる。

 

 なら、まだ死ねない。せめて家族の平穏が約束されるその時までは死ねない。

 

(俺が何時か全てを奪うのなら俺がその前にみんなの前から消えよう。

 そして、みんなの平穏が約束されたときには俺を殺そう。殺しつくそう。

 母さん。その時は約束を破ってもいいよな? その時は不幸しか呼び込まない俺を殺してもいいよな? なぁ、母さん・・・・・・・)

 

 自らに殺意を抱いたまま、恭也は自らを殺すべき時まで走り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 龍の拠点の一室

「何があっても前に進む覚悟をお前は手に入れた。何があっても死ねないことを理解した。次はお前に何を与えようか?

 あぁ、恭也。お前はやはり最高だ。悉くわしの予想をかなえてくれる。それ以上の成果を見せてくれる。

 さぁ、昇れ!! 最強への道を!! わしが与える道を昇りきった時こそ生まれる。わしが願った悲しくも気高き守護者が!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

 最近、自分がダークSS書きだと言うことに始めて気付いたペルソナです。

ざから「なんじゃ藪から棒に」

 いや、この前友達に見せたらさ。お前が書いてるのはシリアスじゃなくてダークだって断言されたんだよ。

 それに涙雨かいてる時点で否定できなかったしさ。

ざから「そんな下らんことを言うよりもさっさとこの話の説明をせんか」

 へいへい、今回はFLANKERさんのリクの赤龍との共闘とT.Sさんと直正さんのリクの恭也が御神家を滅ぼした原因が自分にあると知ったところだね。

 大老が恭也に心酔していることを疎ましく思っている紫龍に恭也の情報を流し、紫龍を裏切り者として指名手配して恭也に事の真相を教えると言う話さ。

ざから「全てはあの老人の掌か」

 んだね。取りあえずは龍にいる間は恭也は大老の掌で踊ってるだけだから。

ざから「最低じゃな。しかし、なんとも中途半端な出来になってしまったな」

 うーん、かもしれない。でも恭也が真相を知るならこの状況しかないって思ったんだ。

ざから「情けない」

 無茶言うなよ。元々戦闘を書くのはすっごい苦手なんだから。

ざから「ふむ、精進させるためにはやはり錠剤しかないか」

 なっ、嫌だ!!

ざから「何を言う。さっさと飲め」

 あがっ、あががががががががが!!!←錠剤を一気に流し込まれた

ざから「ふむ、後は計測じゃな」

 ぽっぽー、ぽっぽー。

ざから「ふむ、三十秒後に鳩の真似。恐らく、脳細胞が鳩に変化したのじゃろ、さて、お次は目薬との相性じゃ」

 ぽっぽー!! ぽっぽー!! ←目薬を差されている。

ざから「次はいったいどのような変化じゃろうな?」

 痛っ、いたい、いたい。ストライク〜!!!

ざから「ふむ、種のイザークに変化したか」

 バタッ

ざから「イザークに変化後、十秒後に気絶。まぁまぁ面白い結果が得られたな」

 浩さん、こんなダークSS作家はいりませんか?

ざから「ふむ、最後に正気に戻って永眠。咲殿、またレポートにして送るゆえ。次回は大老が恭也に心酔した時の話を書くそうじゃ。後、下にまた今話では語られなかった詳細が乗っておる。よければ読んでくれ。ではな」

 

 

災いの種

 霊力零の存在のことをさす。

 霊力零というのは周囲にある霊力を体内で循環させて、自らの生命力を補っている。それと同時に霊力の浄化を自らの身体で行っている。

 それだけのはずなのだが、それが発見された時に火災や地震などが起こり、その原因が霊力零の存在にあるとされた。それ以後も偶然が重なりそう呼ばれるようになった。

 その為に霊力零の存在は災いの種と呼ばれる。

 さらに詳しいことがあるのだが、それはまた後に語らせていただきます。

 

我流技

 これはSchwarzes Anormalesの主人公・蛍火が使っているのと似たような技である。しかし若干違う。

 恭也は多くの人と戦う際に御神流では補えないことものがあることに気付いた。

 それは一撃の重さである。

 一撃の威力ではなく、鍔迫り合いなどをしたときに押し返せるだけの力が子供の恭也にはなく御神流の奥義を出そうにも力負けする。

 小太刀の特性である速さと小回りの良さ、手数の多さでは補え切れなかった。

 その為に作り出したのが我流技。

 力負けをしないために、まず力勝負に持ち込まないことを考えた。

小太刀を使ったまま、相手の攻撃を粉砕できるほどの威力と相手が手を出せないほどの手数の多さを求めた技である。

 御神の護る為に戦う技でもなく、不破の護る為に殺す技でもなく、唯純粋に殺すためだけに使う技であるために我流を名乗ることになる。

 

鬼切 虎切と雷徹の複合し、その後に射抜を使うという技。この技の恐ろしいところは複合して速さも威力も一級品である技を捨て技にして射抜でしとめるところである。

 ちなみに蛍火は射抜につなげられなかった。そこは蛍火と恭也の御神流に触れている時間の長さの違いが起因している。





大老の悪役っぷりが結構良いかも。
美姫 「全てを掌で動かす大老」
そうと分かりつつも、恭也はただ耐えつづける!
美姫 「ああー、次回が楽しみだわ〜」
次の大老の話はどんなのかな〜。
美姫 「次回も待ってますね〜」



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