教室の外からでも喧騒が聞こえる。俺はその中からもっとも聞き覚えのある声を探す。

見つけた。ふむ、だんだんと人として有り得ない領域に来ている気がするのは俺だけだろうか?

 

 

 

 

 

第四十九話 なぜなに蛍火 教師編

 

 

 

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん。講師が未発表のこの講義ってなんだかおかしくない?」

「そうか? 別に気にする必要ないだろ?」

 

 それは普段から寝ているから誰でも言いと言う意味か。情けない。

 

「それに関してはうちの学科でのほうでも噂が立ってたぞ。新しい講師が来たわけでもないし」

「リコはどう思います?」

「私は特に」

 

 まぁ、リコには不要の講義だしな。そうか傭兵科でも噂があったのか。困ったな。

 

「リリィ殿。何をそんなに考え込んでいるでござるか?」

「いやね。こう……なんだか嫌な予感がするのよ」

 

 ふむ、リリィは随分と勘がよくなったようだな。いい事だ。

 

「へぇ、リリィもなのか。実は俺も嫌な予感がするんだよ。だから不貞寝でもしようかと」

 

 大河よ。お前はそんな予感とは関係無しに寝ているだろう。それを口実にするなよ。

 

「なぁ、リリィ。講師が未発表な理由何となく分かったんだが」

「奇遇ね。私もあいつが関係してるならそうなるなって思ったところよ」

 

 ふむ、確信にまでいっているか。人の勘も捨てたものではないな。さて、始めるとしますか。

 勢いよく、ドアを開ける。黒板けしが落ちてくる気配がない。ちょっと期待していたのに。

 中に入ると喧騒がやみ、というよりも皆呆然としている。

自己紹介しないと俺と分からないと思っていたのだが。違ったか。ここまで不審人物と同じような格好をしていればな。

 

「さて、初めてでない方も初めての方も始めまして。この講義を受け持つ講師の新城蛍火です。あっ、偽者とかじゃないですからね」

 

 一応いっておく。

ちなみに俺の偽者を語るものはほぼいない。俺にばれたときのことを想定すれば出来るはずもない。

塵も残さず獄炎に焼かれる可能性があるからな。

 救世主クラスは目の前の出来事にあきれ果てている。もはや慣れてしまったか。つまらん。

 

「なぁ、蛍火。なんでまた講師なんてしてるんだ?」

 

 大河が相変わらずな態度で不思議と聞いてくる。まったく。

 

「当真君、ここでは一応私は講師です。けじめをつけてください。

それと講師をしている理由でしたね。学園長にしろと命じられたからです」

 

 まったく、軽く今後の学園のスケジュールを書き加えただけなのにこんなことをやらされるなんて。

 

「どうして頼まれたのですか?」

 

 ベリオがまだ納得できないと追及してくる。ふむ、ついでだ。あれのことも話すか。

 

「そうですね。最近の学園の実習、厳しいと思ったことはないですか?」

 

 話が飛んで混乱している者もいるがそれでも厳しいという事は覚えているのか頷いて言うものが多い。

もちろん、後ろのほうにいる王宮騎士も。

 実は王宮のほうの訓練課程にも俺は加筆している。イリーナに店の存在を王宮で宣言するなどと脅されたからな。

 

「実感していただけて何よりです。それは私が半分作りましたから」

 

 その言葉に殺気を向けてくるものが結構いた。そこまできつくした覚えはないのだが。

 

「なっ、蛍火。あの鬼みたいなメニューはお前のせいなのか!!」

 

 セルが大声を上げて講義している。鬼か?

 

「ボルト君。先ほどもいったように私は講師です。ここではけじめをつけるように。でもそこまで厳しくしてませんよ。

これでもまだ質だけを上げただけで量は増やしてませんから。これでも優しいくらいだと思ったんですから」

 

 その言葉に青ざめるものが多数。この質を保持したまま量を増やされたらリタイアするものが増えるからな。

それも見越してギリギリのものを用意した。

 

「なぁ、もし優しくなかったらどんなんだったんだ?」

 

 セルがほぼ禁句を言った。周りのものから殴られている。

ふむ、あぁなるとわかっていたセルに敬意を表して答えてやろう。

 

「私がやらされていたものですからね。最低であの質を保持したまま六時間は確定ですね」

 

 青を通り越して白になっているものが多数。

んー、けどな。俺はそれに加えて自己鍛錬を後、十二時間やってたぞ。もちろん質はほぼ同等ので、

今思うが俺よく生きてるな。

 

「と言うわけで私が講師になりました。初めての事なので至らぬ点が多々あると思いますがご容赦のほどを」

 

 さぁ、授業を始めようか。

 

 

「さて、自己トレーニング法を学ぶこの講義ですが。まずは自分のタイプを見極めることが重要です。

それを誤ると体を壊したり、成長を阻害されたりします。ここは十分に気をつけてください。

 人がこれだけ多くいるわけですから、細かく分ければ限がありません。ここでは大別して三種類に分けます。

 まず、力技を得意とするパワータイプ。そして速度を優先させるスピードタイプ。そして技巧を用いる技巧タイプにわかれます」

 

 そこで手を上げるものがいた。たしか、騎士科のものか。まずは聞いてみるか。

 

「あの最初の二つは分かるんですけど、最後の技巧タイプは中間型じゃないんですか?」

 

 俺が相手とありおどおどとしているが的確にいってくる。たしかに、普通は最後のは中間型にするだろう。

 

「たしかに、普通はそうです。しかし、人は基本的に力か速度、どちらかを優先します。

そしてそのどちらかの突出した、言い方は悪いですが才能がないものが中間型です。

まぁ、稀に本当にどちらの資質も持ち合わせた中間型がいますがそれはここでは除外。

 中間型は相対する相手によって自分の状態を変えることが出来ます。相手に合わせて自分のスタイル、技を変更させる。

つまりその戦闘形態自体が技となっていることから私は中間型を技巧タイプと読んでいます。

 では、何故自分と違うタイプの練習をしてはいけないか。それは自らの長所を殺すことになってしまうからです。

 例として、スピードタイプがパワータイプと同じトレーニングをすると無駄な筋肉が付き長所であるスピードを殺してしまうのです。

それでは意味がありません。

 短所をなくすために力をつける。確かにそれは理想的です。

しかし、人は何かを極めようとするならそれ以外の全てを犠牲にしなければならない。

 私は短所をなくすよりも長所を伸ばしたほうがより戦うことにおいては有利だと考えています」

 

 

 

 

 

 

 などなど、俺はそういったことを十数分に渡り話していた。

 ふむ、少し話し声が聞こえるか。

 

「そこ、授業中にお話をしないで下さい。

授業の中身を話してくれるのは嬉しいですが、それで他の人に迷惑勝てることになってはいけません。

小声と言えど近くには聞こえるのですから、次からは筆談にしてください。後、寝るのは自由ですからね」

「なぁ、普通は寝るなって言うんじゃないのか?」

 

 珍しく、本当に珍しく起きている大河に突っ込まれる。お前に言われるのは癪だな。

 

「周りに迷惑をかけていない分だけいいです。あぁ、授業に関係ないことを話していたならチョークが飛びますから気をつけてください」

 

 教壇にたったら一度はしてみたいと思ってたんだよな。

 

 

 

 

 さらに十数分、話し込んでいた。

 

ガラリッ

 

 唐突にドアが開けられた。ふむ、どうした事か? 遅刻したとしても後ろのドアから入ってくるよな。

 俺はドアのほうに眼を向ける。すると眼に入ってきたのは白。明らかにレンだ。

 

 レンの登場により教室は静まり返ってしまった。

レンは静かになった教室をきょろきょろと見回した後、教壇に立っている俺を見つけて少し安心した表情になる。

 トコトコとこちらによって来る。そして、俺の裾を掴み、コートに顔を摺り寄せてくる。

 

 どうしたと言うのだ? もし何かあったと言うのならエリザとアムリタも一緒に来るはずだ。二人の身に何かあった?

いや、それはない。あそこには非常時にはこの学園並みの結界が張るようにしてある。

まず何より魔術で探知できるようになっている。なら?

 

 とりあえず、授業の中断か。俺はレンに裾を握らせたまま、目線を合わせる。

裾を話そうとすると本当に悲しそうな顔をするからな。

 

「レン。どうしました?」

 

 コートに顔をうずめたまま何も答えて来ない。聞いていないわけではないはずなのだが。

 

「何か言ってくれないと何をして欲しいのかわかりません」

 

 それでもレンは話そうとしない。ふむ、一体どうしたものか。

 

「今は授業中です。ですから」

 

 次の言葉を言う前にレンの裾を握る力が強くなった。困った。どうすればいい。

 

「はぁ、レン。授業中ですので話すことは出来ませんが傍にいるだけになりますがそれでもかまいませんか?」

 

 レンは小さく頷いた。はぁ、この状態で授業か。頑張らないとな。おっとその前に。

 

「今、私のことをロリコンとか思った人は課題を出しますから」

 

 俺の言葉に動揺が出た奴が数人。よし、顔は覚えた。ふふっ、楽しみにしておけよ。

 

 

 

さて、レンを貼り付けたまま黒板に向おうとしたところ止められた。やはり逃げられないか。

 

「あの、その子は?」

 

 その子は別に俺のことをロリコンとか思っていないのだったよな? 何故気になる。

 

「知人の娘です。訳合って私が預かっています。それ以上はプライベートなことなのであまり聞かないで下さい。

もちろん、事情を知っている人は不用意に漏らさないように。」

 特にリリィに向けて言う。あいつは結構もらすことがあるからな。

 

 

 

 結局授業中、レンは俺に張り付いたままだった。そのためシリアスなのにほのぼのとしてしまった。

ふむ、そろそろチャイムか。少し早いが限がいいからここで終わろう。

 

「さて、これで今日の講義は終わりとします。課題と言うほどでもないですが、今一度自分のタイプを理解しておいてください。

まずは、自分の普段の戦闘を省みて考え、次に他の人に聞いて客観的に判断しましょう。

戦場では客観的に判断する力も必要ですからね。

 あぁ、後、そこの人、それと…………」

 

 俺は十人以上を指差していく。指された者は何故呼ばれているかわかっていないと言う様子だ。

その中にはもちろん王宮騎士もいた。

 

「貴方たちは追加として、三タイプ全ての特徴、そして、どの場面において有効に動けるか。

また苦手とするかをレポートにして出してください」

 

 その者達が明らかに不満顔になる。何故自分たちがと表情が語っている。言っただろ?

 

「授業半ばで言いましたよね。私のことをロリコンとか頭の隅でも考えた人は課題を出すって。だから出したんです」

 

 その言葉に青ざめている。何故分かったって?

 

「言っておきますが、心理読解と深層心理理解は私の得意分野です。

表情、仕種、気配の変化。その全てで相手が何を考えているかだいたい理解できますから」

 

 その言葉に多数の生徒は青ざめ、未亜とリリィが若干慌てている。遠めで見ていても分かるぐらいだ。

 

「あぁ、恋愛感情については複雑なので分かりませんけどね」

 

 未亜とリリィは安心したような、不満がありますといった複雑な表情をしていた。

そこまでされて気付かないほうがどうかしていると思うのだが。

 

「ではこれにて、終了。充実した午後を送ってください」

 

 俺は教材を片付け、出て行く準備をする。といってもさしたる物はない。

ん、そういえばレンはここに一人できたよな。もしかして、あの二人に黙ってきてないよな?

 

「レン。ここに来たことをカルメルさんとフォルスティさんに言いましたか?」

 

 レンがびくりと震える。それだけで言っていないのがわかる。

しかし、言葉にさせないとコミュニケーションを苦手にするようになるからな。

 

「怒らない?」

 

 レンがこわごわと上目遣いで聞いてくる。ここら辺は相変わらずか。

その言葉に俺は苦笑を漏らしてしまう。俺が怒ったことなどこの世界で数えるほどしかないと言うのに、

それにしても悪いとは感じているのか。なら、良い事だ。

 

「私が怒鳴ったことは一回以外ありますか?」

 

 俺がレンに向けて怒鳴ったことは最初を除いて一度もない。

過保護と言われるかもしれない。だが、俺は子育てをした事がないからな。諭すようにするしか方法がない。

 

「ない」

 

 レンが俯いて小さく言った。ちゃんと自分がしたことを理解している。本当にいい子だ。

 

「二人が心配しますから、次からは行き先を言ってからにしてください。

「怒らないの?」

 

 レンは不思議なのだろう。もしかしたらこういう事で母親にしかられた記憶があるのかもしれない。しかし、

 

「自分が悪い事をしたとわかっているのでしょう? なら、私は何も言いません」

 レンの頭を軽く撫でる。

 俺は悪いことをしてそれを反省している者にはそれ以上は怒らない。自分で自覚しているのだ。なら、必要はない。

もちろん、レンがその事に付いて何も思っていないのなら俺は怒るが。

 

 

 急にいなくなったとあればあの二人は必死に成って探しているだろうな。知らせておくか。

 俺は教材で余った紙にレンが俺のところにいると書き、それを鳥の形にする。

 

「折り紙?」

 

 レンが興味深そうに除いてくる。残念。ちょっと違う。

 

「これは式神と言って、言葉に表すのは難しいですね。こちらの言葉で言うと使い魔ですね。

これでカルメルさんとフォルスティさんに貴女がここにいることを伝えます。心配してるでしょうから」

 

 心配している。その言葉にレンが少しつらそうな表情をする。それが理解しているのに何故ここに来たんだ?

理由は話しても教えてくれないだろう。

 

「おーい。蛍火。これから学食で一緒に飯食えね?」

 

 今まで話しかけてこなかった大河が昼食を誘う。他の救世主クラスのメンバーも待っていてくれたようだ。

 そういえば、こいつら全員と一緒に昼食をとった記憶がないな。だけど、これから店を開けないといけない。

 

「残念。これから用事がありますので。また今度お願いできますか?」

 

 おそらく今度誘われても無理だろうが。

 

「付き合い悪いな。少しぐらいいいだろ?」

「そういうわけにもいきません。仕事ですから。

当真だってアルバイトはしてたなら自分の都合よりも仕事を優先させなければ成らないという事は分かるでしょう?」

 

 未亜と二人暮らしをするためにアルバイトを時間ギリギリまでしていたぐらいだ。

仕事の都合と言うものは唯我独尊の大河でも理解できるだろう。

 

「まぁな。しゃねぇ。次は期待してるぜ」

 

 大河は軽やかに挨拶すると他の者たちと一緒に食堂のほうへ歩き出した。

さて、店を開ける準備しないとな。

 

「レン。お昼は何にしましょうか?」

 

 少し視線を下げレンに問う。

 

「オムライス」

 

 いつも通り、唯一言。

 

「この前もそれだったでしょう?」

 

 三日前もレンはオムライスを要求した。

レンのお陰で昼に週に二回はオムライスが出される。俺は別にかまわないのだが。

 

「好きだから」

 

 そうか、そんなに好きか。仁に教えてもらっておいてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 店の前に着くと待っていたのか、エリザとアムリタが店の前にいた。俺たちを確認すると駆け寄ってきた。

 

「連絡は行ってたみたいですね。」

 

 一応確認はしておかないとな。ちゃんと式を書いたつもりだが、たまにつもりであることがある。

まぁ、重要文書でもないので確認はあまりしていなかった。

 

「はい。………レンちゃん、心配しましたよ」

 

 エリザの教育方針は俺と同じようだ。怒るのではなく諭す。

育てる者によって教育方針が異なると子供が混乱するからな。こういう点は優しいエリザに感謝している。

 

「ごめんなさい」

「次からはちゃんと行き先を行ってからにしてね」

「うん」

 仲睦ましい光景だ。この三人がそろうとそれしか思い浮かばない。

やれやれ、本当に…………眩しすぎる。

 

「レンちゃん。次からはしないでよね。ところで蛍火さん。今日のお昼は何かな?」

 

 俺に最初に聞く言葉が昼食のことか。まぁ、俺の扱いはこんなものかもな。

 

「オムライスです」

「やったね。レンちゃん」

 

 レンと同じくアムリタも結構オムライスが好きだ。

 

「オムライスですか」

 

 ほうと満足そうな表情でため息をつくエリザ。

大人な性格とは裏腹にエリザの好物は甘いものとか子供っぽいものだ。

 最初に好物を聞いたときはかなり驚いた。俺が驚いた後の慌てる様子もかなり可愛かったが。

ふむ、このギャップを大河あたりが見たら必ず、こう叫ぶだろう。萌え!!と。

 

 

 店のキッチンでオムライスを作り全員で食べる。この時間はめったに客が来ない。

正午時はキュリオとファミーユとかの表通りのほうに客が集まる。今頃は嬉しい悲鳴を上げているところだろう。

 

カランカラン

 

 ドアベルが来客を告げる。

この時間帯に客が来るとは珍しい。俺は客を出迎えるために準備する。

三人と違って俺は食事に時間はかけないほうだからな。

 

「いらっしゃい」

 

 ドアのほうを向くと二人組みの女性がいた。

一人はレンとは異なる白い髪をした褐色の女性。そしてもう一人は紫紺の髪の鮮やかな小さめな女性。

 明らかにロベリアとイムだ。緊急以外には来るなといったはずなんだが……、

 

ロベリアとイムはいつもと違う服装をしている。

 まず、ロベリアはスカートをはいている。それだけで驚愕だが、イムはオーバーオールを着ていてどちらかと言うとボーイッシュなスタイルだった。

 ちなみにロベリアは目隠しをしていない。心境の変化が有ったらしい。

 

「悪いんですけど、さっき開けたばかりでしてね。お菓子は何も出来ていないんですよ」

 

 実際はまだ、表にはCLOSEがかかっている。この二人にそんなものは意味がないだろうが。

 

「そう」

 

 明らかに残念がっている。イムも子供みたいだ。

レンと並べてみても背格好だけではイムが少しだけ大人にしか見えない。なんでこんな体をリコは選んだんだ?

 

「ぼちぼちと作りますから、待っていてください」

「マスター。プリン希望」

「私もそれでお願いしようか」

「いえ、さすがに四時間はかかりますから、クッキーあたりで」

 

 作るのは慣れているから時間はかからないが、冷やすのに時間が掛かるからな。

 元々お菓子は作ると言うよりも寝かせるのに時間が掛かる。

三時ぐらいに出来るようなメニューを考えていたのに。まぁ、客が来たからには要望に応えんとな。

 

 またベルが鳴る。今日は時間外の客が多いな。

 

「よっす。蛍火。来てやったで」

 

 マリーか。そうか、今日はカエデの訓練は休みだったな。

 

 マリーは俺との訓練が終わるとカエデの指導をし始めた。

というよりもカエデが教えを請いに行ったが正解なのだが。なんでもこの世界の忍者に近い技をここで学びたいそうだ。

マリーも俺との訓練を終わらせて暇をもてあましていたらしく了承してくれた。

週の半分はカエデとマリーで訓練している。そして、後の半分はカエデと大河が召喚器を使った実戦訓練らしい。

 

イリーナは週のうち半分をセルと二人で訓練できることをかなり嬉しがっていた。もちろん、それにセルは気付かなかったが。

 ついでに言えば、大河とセルの訓練方式もかなり変わった。

二人が一緒のときは王宮にまで行き、騎士との合同模義戦を繰り返すようにしている。二人とも本当に頑張っている。

 

「いらっしゃい。来て貰って嬉しいのですが、お菓子がまだ出来ていません。飲み物だけになりますがいいですか?」

「あぁ、かまわんで。お菓子が出来るまでじっくりと待つわ」

 

 マリーらしい返答に俺は苦笑してしまう。

本来なら出ていかれても仕方のないことなのにな。別に俺はそれでもかまわないのだが。

そういえば諺にこんな言葉が合ったよな。二度ある事は三度ある。外れてくれるとありがたいのだが。

 

 三度目の時間外の来客。しかし、それは先ほどとは少し違った。

 

「おっさん。レンいる?」

 

 ドアの場所には十歳に満たないぐらいの日に焼けた少年がいた。

この子は、というよりはこの子のグループは最近レンと仲良くしてくれている子達だ。

同年代の友達が増えてくれると言うのは保護者としては嬉しい。

 

 おっさん呼ばわりされるのは別に気にしていない。俺も二十代半ばだ。十にも満たない子から見たらおっさんだろう。

それに呼称などは俺にはあまり関係ない。蛍火という名前だってまず偽名なのだから。

 

「いますよ」

 

 レンの座っているほうに眼を向ける。レンは今は食後のカフェラテを飲んでいる。

初めに入れたものが気にっているらしく、ずっとこれを頼んでくれる。俺としては珈琲を飲んでくれる事は嬉しい。

 

「遊びに行こうぜ」

 

 少年がレンの手を掴んでレンの返事も待たずに外に引っ張る。

レンの場合は少々強引なほうがいいだろうから、俺はそれについては何も言わない。

 レンが俺のほうを切なげ見てきたが俺は皿を洗うことに集中する。あの子には友達が必要だからな。

 

「なぁ、今のはちょっと可哀想やないか?」

「私も思います」

「マスターは女心が理解できないみたいだから」

「私も苦労してますよ」

「あぁ、あいつは本当に女心が理解できていない」

 

 なにやら女子が集まって俺の陰口を言っているが、気にしない。俺には女心を理解する必要はないしな。

さて、お菓子作りに励むとしますか。

 

 

 

 


後書き

 さて今回の授業で蛍火が言っていた事はあくまでも私なりの解釈なのでそこについてはあまり言わないでもらえると嬉しいです。

 レンが一人で蛍火に会いに来た理由。それは蛍火が傍にいなかったのが寂しかったからです。

 外から見ていれば分かるはずなのに蛍火は気付かない。

 彼はそういう想いを向けられているとは露とも思っていませんから。

 

 

 

観護(ロベリアが目隠しをはずした!?)

 驚くところはそこか。

観護(ありえないでしょ!?)

 まぁ、それについては次で話す。

観護(なるほど、しかしレンちゃん随分と可愛いわね)

 うん、オリキャラの中で一番可愛がってるからね。

観護(ペルソナ、アンタまさか……………)

 ちょっ、何でそんなに冷たい視線を送って来るんだよ!!

観護(だってねぇ)

 私はFLANKERさんのようにロリコンじゃない!!

観護(え〜)

 信じてくれよ!! …………まぁ、いいや次回予告

観護(次回は一話に渡り、ロベリアのInterlude、何故目隠しをはずすようになったのか?)

 また一人犠牲者が………、次話でお会いいたしましょう。





目隠しがない!
美姫 「いや、アンタもそこに驚くの」
あははは。まあ、その辺りは次回辺りで分かるみたいだから楽しみに待つとします。
美姫 「それはそうと、前回の四十八話」
いや、本当に申し訳ございません。
アップするのを忘れてまして……。
美姫 「この大馬鹿者!」
ぶべらっ!
美姫 「本当にごめんなさい」
う、うぅぅ……。
美姫 「次回も楽しみにしてますので」
ぐはっ! ま、また次回も待ってます……。



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