「これで、後は俺とリコだけか」

 

大河の呟きにリコはただ無言で大河を見る。それに気付いた大河が、そんなリコへと言葉を掛ける。

 

「どうかしたか、リコ?」

「大河さんも、帰る気はありませんか?」

「ああ、別に良いぞ」

 

言った本人のリコは表情を変えずにその真意を探るように更に尋ねる。

 

「本当ですか?」

 

それに対し、大河は肯定する。もちろんただで帰るつもりは大河には無い。ただしと大河は言葉を続ける。

 

「ああ。ただし、リコも一緒に帰るならな」

「……それは、出来ません」

「んじゃ、俺も帰れないな」

「そんなに救世主になりたいんですか?」

 

 大河はある種救世主に固執している。それは俺が幾度も真の救世主になれると言っていたからである。

しかし、同時に大河はそれが手段であることをよく理解している。ゆえにここで大河の取る行動は間違えるはずがない。

 

「どうだろうな。蛍火には成れるって何度も言われてるけどそいつはあくまでも手段だ。

まぁ、成れるなら確実に成るけどな。けど今は違うぜ?

今は単に、リコが心配だったからな。

だから、ここに来たのにリコをこのまま一人で行かせたら何のためにこんな所まで来たのか分からなくなっちまう」

 

大河の答えが予想外だったのか、リコが珍しく驚愕も顕わに大河を見詰める。

 

「私を?」

「ああ、そうだぜ」

「……そんな、私なんか……」

「おいおい、リコがそんな事言うもんじゃないぜ。折角の可愛い容姿が台無しだぜ?

ほら、行くぞ。救世主と学園の秘密とやら拝めるかもしれないからな」

 

 大河の言葉に、リコは僅かな笑みを見せた。ここで漸くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

第二十七話 守護者との戦い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん? 未亜がもう、ここに来たか。早いな。

 

「お兄ちゃん!!」

「未亜!」

 

 未亜が大河の元へ駆け寄る。大河の元へ着くが未亜はきょろきょろと何かを探している。

 

「随分早かったな。てゆーか早すぎね?」

 

 大河は未亜が早く着すぎたことに疑問を持っている。自分たちでもこれほど時間がかかったのだ。

ましてや未亜一人ではさら時間がかかるはずなのに自分たちに追いついている。不思議に思わないほうがおかしい。

 

「うん。降りてくる時にモンスターが一体も出てこなかったから。それに蛍火さんに地上に送ってもらったから」

 

 リコがモンスターが出てこなかったというところに驚く。通常ではそのフロアに入ると確実に戦闘しなければならないからな。

それしても未亜よ、簡単に俺が来てるって話すなよ。裏では余計なことを話すとすぐに殺されるぞ?

 

「は!? あいつ来てんのかよ」

 

 まぁ、大河が驚くのも当然だろう。救世主クラスではない者がここに来ているのだから。

というより学園長にこれは救世主選抜試験だと聞かされていたからな。

 

「うん。何か重要な用事があるって」

「まぁ、あいつならな。てゆーかモンスター出てこなかったのってあいつのせいじゃね?」

「うん。そうかもしれないね」

 

 大河の呆れたような口調に未亜は苦笑しながら頷く。お前たちの中で俺いったいどういう認識をしているんだ?

 

「さすがに……、それは無いかと」

 

 リコがしごく全うなことを言うが、すまん。それやったの俺。

 

「いや、あいつなら有り得るだろ」

「大河さんの中で蛍火さんはどういう認識なんですか?」

 

 さすがに理不尽に感じたのかリコが聞く。それは俺も聞きたいな。

 

「この世全ての謎の体現?」

「不良品じゃないドラ○もん?」

 

 その言葉にリコが困惑する。大河よ、さすがにそれはないぞ。それに未亜、あれと同列扱いするなよ。さすがに凹むぞ。

 

「蛍火が協力してくれたんならかなり楽だったのにな」

「そうだね。誰も脱落しなかったんじゃないかな?」

 

 その言葉にリコが食いつく。普段の俺を見ている分そんなものが想像できないのだろう。

 

「……そんなに強いのですか?」

「あぁ、理不尽なぐらい強い」

 

 リコの質問に大河が強く答える。そこまで強くは無い。その言葉が似合うのは師匠だ。

 

「そうだね。私の戦い方教えてくれたのは、全部蛍火さんだし」

「マジか!?」

 

 その言葉に大河が必要以上に驚く。まぁ、さらに差が開いたも同然だからな。

 

「はぁ、追いつくのが一体いつになるのか分かんねぇ」

 

 大河が何か呟く。小さすぎてこの距離では聞き取れない。まぁ、気にするほどのことでもないだろう。

 

「お兄ちゃん?」

「あ? あぁ、蛍火が手ぇ、貸してくれんなら最初からいるだろうからな。今いないって事は俺たちとは別の用事なんだろうな」

「そうだね。早く、導きの書を取ってこよ」

 

 未亜の言葉に大河とリコが頷く。

 下へとついた途端、ワーウルフ大群が押し寄せてくる。

 

「こりゃ、手厚い歓迎だな」

「うーん、出来れば遠慮したいかな?」

 

 いい加減、うんざりしてきたのか大河が呟く。それに同意して未亜も呟く。未亜よ、お前は結構休んでいたと思うが。

 

「未亜、リコ、後ろから援護頼む。俺が斬り込んで……」

 

 と大河が言う。しかし、その言葉に従わずリコが大河の前に出る。

 

「リコ?」

 

 不思議そうに問いかけてくる。大河へと無言を返す。リコが片手を頭上に掲げ、口の中で何か呟き、一気に下へ下ろす。

瞬間、敵の頭上に魔方陣が現れ、そこから五本の巨大な雷が振り下ろされる。

 五本の雷が束となり荒れ狂い、雷が収まったときにはワーウルフの群れは消滅していた。

 

「……リリィのよりも断然強ぇ」

 

 呆然と大河が呟く。その後ろにいた未亜も呆然としている。これほどの力を持っているとは思えなかったようだ。

 歩き始めたりこの横へと慌てて並び、大河がリコに尋ねる。

 

「なぁ、リコ。どうしていつもはその力使わないんだ?

魔法のことは詳しく分かんねぇけどリコの魔法の威力はリリィ以上じゃないのか?」

 

 大河の質問に未亜も同意する。

 

「そうだね。絶対リコさんのほうがリリィさんより強いと思うよ」

「………」

 

 大河と未亜の質問にリコは何も答えない。沈黙こそが回答といわんばかりだ。話は終わりとリコが歩みを進める。

 

「なぁ、ひょっとしてリコは待ってたのか?」

 

 大河の言葉にリコが歩みを止める。そしてその言葉を理解し、驚く。

 

「………案外、そうなのかもしれません」

 

 リコは自分でも今気付いたとばかりに呟く。それは奥底の願い。

この無限に続く愚かな戦いを終わらせることの出来る人物を待っていたという。

 それ以上、リコは語らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「しっかし、随分と長い階段だな」

「目的地は、もうすぐだと思います」

「そっか」

 

 三人は黙々と階段を下りていく。そして、その場所へと三人はたどり着いた。今までのフロアの倍近い広さ。圧巻だな。

 

 

 

 

「……凄ぇ広さだな。上の図書館よりも広いぜ」

「うん」

 

 大河と未亜は、その広さに圧倒される。少なくとも、これほどの広さに出会ったのは無いのかもしれない。

かくゆう俺も驚いている。広さにではなく、その蔵書の多さにだ。

ここの本は手を出してないから今度来たときに絶対に読もう。

 

「……当然です。ここに収められているのはアヴァターの無限の歴史。そのものですから」

 

 リコの説明に感心したと声を上げる。そこでふと未亜はリコのほうを見る。その顔には疑問が浮かんでいた。

 

「そういえば、どうしてリコさんはここに導きの書があるって知ってたんですか? 

私たちは学園長に教えられて、ここにあるって知ったのに」

 

 未亜が疑問に思ったことをいう。大河はそれを聞きながら落ちている本を拾い上げようとする。

 

「大河さん……。それに触れると危ないです」

 

 大河はリコの言葉に伸ばしていた手を引っ込め、そしてリコに尋ねる。

 

「リコ、どうして危ないって知ってるんだ?」

「…………それは」

 

 言いづらそうにするリコをじっと黙って大河は見つめ続ける。

 

「…秘密です。……内緒なんです……」

 

 リコは辛そうにその言葉だけを紡ぎだす。秘密には三種類ある。

誰にも触れられたく無いもの。言いたくとも隠しておかなければならないもの。誰かに聞いて欲しくて黙っているもの。

リコの場合は言いたくとも隠しておかなければならないもの。

 

 自分のためにここまでしてくれる大河たちの話してしまってもいい。しかし、大河を巻き込みたくない。

その板ばさみ、辛いだろう。

 

「……分かった。悪ぃな、リコ。無理に聞きだそうとしちまって」

「………………いえ」

 

 やがて出てきたリコの言葉に大河は何か察したのかそれ以上何も追求しようとしなかった。そして再び歩き始める。

 

 

 

 

 やがて、リコが立ち止まった。

 

「……着きました」

「着いた? つぅことはここが導きの書のある古代神殿の最深部って事か」

 

 そう言い、大河と未亜が向けた視線の先には一冊の書が石版に鎖で巻きつけられていた。

それはまるで、そこから出さないために封印しているようでもあった。

まぁ封印しているんだが。

 

「……あれが、導きの書?」

 

大河の呟きは、思ったよりも反響して部屋に響く。その横で、リコは頷きながらその言葉を肯定する。

 

「その通りです。あれこそが、この世の森羅万象全てを記してあるとされる書です。

その書を手に取るものは、世界を決める者と言われています」

「世界を決める、か。また随分と大層な書だな」

 

肩を竦めるようにして言った大河。世界を決めるなど、大河にしてみればまるで実感がわかないものだろう。

もちろん、未亜もどうようなのか胡散臭いような表情をしている。

リコは大河と未亜に真摯な瞳を向けてじっと見上げる。

 

「大河さん、未亜さん、今ならまだ間に合います。書のことは私に任せて、地上へと帰る気はありませんか?」

 

そのリコの台詞を聞き、大河は思わず笑っていた。そんな大河の態度に、リコは唖然としてしまう。

 

「おいおい、リコ、さっきの俺の話を聞いてたか? さっきも言ったけど、別に俺は書のためだけにここに来た訳じゃないぜ。

リコだけを残して帰れるわけないだろ。帰る時は一緒だ」

 

「そうだね、私たち全員で帰らなきゃ、意味がないよ」

 

大河の言葉に、未亜も同意する。そうだとも、帰れるはずなどない。

なぜなら、リコは二人にとって、いや、救世主クラス全ての仲間なのだから。

リコは、大河と未亜の決心が固いことを理解した。

 

「……分かりました。では、書の封印を外します。覚悟は良いですか?」

 

リコの問い掛けに頷きで帰すと、リコは掌を書へと翳す。

書が微かな光を放ち、書が置かれてある他よりも少しだけ高くなっている祭壇の階段の前に、微かな光が生まれる。

その光は徐々に弱まりながら、一つの形を取り始めた。

光が完全に消え去る。そこには、ライオン、龍、山羊という三つの顔を持ち、蝙蝠の羽に尻尾が蛇という四足の獣が姿を見せる。

その姿は、間違いなく伝説などで出てくるキマイラそのものだ。戦ってみても良かったかな?

 

「ったく、キマイラそのものだな」

「だね」

「導きの書の守護者です」

「う〜ん、勝てる……かな?」

 

少しばかり未亜が不安そうに呟く。それに対して、リコは冷たい返答をした。

 

「勝てなければ、無謀な覚悟だったと言うだけです」

 

そう、勝てなければそれまでだという事。なんとしても勝って欲しいものだ。

 

「なるほど、ならちゃんと覚悟を見せねぇとな! トレイター!」

「来て! ジャスティ!」

「いくぜ!!」

 

 

 

 声を張り上げると共に大河が守護者に向かって駆け出す。それを援護するように未亜が連続で矢を放つ。

 大河が守護者に辿り着く前にその矢は守護者に届く。その矢は守護者の中心ではなく守護者の頭、特に目の部分を狙っていた。

 その矢を危険に感じたのか、守護者はその矢を避けるために頭を動かす。守護者の顔の横を矢が通り過ぎる。

だが、それを前提としていたのか未亜はすでに第二射を放っていた。

 顔を動かした丁度その位置に矢が襲い掛かる。守護者も避けた先に矢が来ているとは思っていなかったのか慌てて避けようとする。

だが時すでに遅し、その矢は守護者の顔だけ出なく体全体に襲い掛かる。

 あまりの激痛なのか、キマイラが悲鳴の如きの咆哮を上げる。

 

「ついでだ。貰っとけ!!」

 

 大河がトレイターを手甲状態に変化させ、両手で拳を刺さった矢目掛けて振るう。

大河の拳によって矢がさらに守護者の内部に食い込む。

 だが、その攻撃は剣状態のときと比べて素人くさい。イリーナに剣状態の鍛錬ばかりさせていた事があだになったか。

体術も教えなければ成らないかもしれない。

 

 矢が次々と守護者の体に食い込んでいく中、ライオンの頭部に刺さった一本だけは手を出されることなく残っている。

 

「大河さん、下がってください」

 

 リコの声によって大河は後ろに下がる。守護者の上空にはそれなりの大きさを誇る魔方陣。

 そこから一本に絞られた雷が守護者に振り下ろされる。一直線にライオンの頭部に突き刺さっている雷目掛けて落ちる。

雷を落としやすいように細工したのだ。

 

ギャワアアアアアアア!!!

 

 雷が体の内部で暴れていることに耐え切れないのか守護者が暴れる。

その隙を突くように大河が剣の状態に戻したトレイターで守護者に接近する。

 トレイターの切っ先が守護者にぶつかる前に守護者の腕が振り下ろされる。

痛みにもがいていた守護者が振り回していた腕が運悪く大河の攻撃を中断させる。

 避けることも出来ないほどに近づいていたため、大河はその腕をトレイターで受け止めた。

 

「くそっ、なんって重いんだよ!!」

 

 大河は膝が地面に付き添うになるが、なんとか踏みとどまる。

 

インフェイム

 

 守護者の横に唐突にテレポートしたリコのインフェイムが守護者の横腹に突き当たり守護者が大河の真横に吹き飛ばされる。

 

「サンキュ、リコ」

「いえ」

 

 リコが当たり前とばかりに大河の礼を受け流す。今はそれ所ではない。

その着地点に合わせるように未亜が放った矢が上空より幾矢も降り注ぐ。

インフェイムのダメージが残っていたのと上手く着地できなかったために守護者の背中に矢が突き刺さる。

 

ネクロノミコン

 

 リコの声と共にリコの背後に真っ赤な血のように赤い本が出現する。架空の書物、死者の掟の表象か。リコには似合わない書物だな。

 

「開いて」

 

リコが命じると、本のページが開かれる。本の真ん中に魔法陣が浮かび上がっていた。

 

「放って」

 

 リコの声と共に魔方陣から大量のバナナの皮が放り投げられる。一つ思ったんだが本当にバナナの皮で人はこけるのだろうか?

少なくとも俺は落ちているバナナを踏んだことはない。

 起き上がろうとする守護者の前足がネクロノミコンが放ったバナナの皮を狙ったように踏む。そして体が大きくすべる。

もはやギャグだろ。それともあのバナナには転倒するような魔法でもかけられているのだろうか?

 

「うらあぁあああああ!!」

 

 大河はトレイターを手甲状態にして無様なまでに転んでいる守護者目掛けて突き進む。

先ほどの教訓が生かしきれていないのだろうか?

 だが、そうではなかった。大河は守護者とぶつかる寸前に膝を思いきり折り曲げ、上空に向かって飛び上がりそのまま飛び越えた。

 上空を見事に飛び越える大河に守護者は気を取られていた。

 

「貫いて!!」

 

 未亜のモーメントフラッシュが守護者の羊の頭と胴体を貫いていく。

 

「開いて、投げて」

 

 魔法陣から手が出現し、その手は爆弾を持っていた。そして、手が躊躇なく爆弾を守護者に向かって投げる。

当然ながら、羊の頭と胴体が貫かれた守護者は激痛によって反応できず、避けるのに間に合うはずなどない。

守護者はまともに爆弾の爆発に巻き込まれ上空に打ち上げられる。そして追撃をかけるようにと未亜が弓を構える。

同時に未亜の正面に魔方陣が展開され、未亜が放った矢がその魔方陣を通ると理不尽なまでに矢が複製され

上空にいる守護者の胸の部分に突き刺さる。

天井近くまで体を持ち上げられた守護者に待ち受けているのはリコが用意した魔方陣。そこから、荒れ狂うように雷が数条降り注ぐ。

声を上げることすら出来ずに守護者が雷の衝撃を受け地面に叩きつけられる。

四肢に力を入れることもかなわないのか守護者は起き上がることが出来ない。その守護者の背中に影が出来る。

守護者の上空には剣状態のトレイターを逆さに構えた大河。落下のエネルギーを利用して守護者の背中にトレイターを突き刺す。

 

「――――あばよ。」

 

 唐突に爆発に似た鈍い音と共に守護者の体が一瞬膨れる。守護者口から血を吐き倒れふす。

 守護者から離れた大河の手にはトレイターがない。突き刺した状態で爆弾に変化させて守護者の体内で爆発か。恐ろしいな。

 

「やったのかな?」

 

呆然とした感じで未亜が呟く。だが、少なくとも、大河たち以外に動く気配はない。

あれの特性を知っていなければ死んだと思うのは当たり前か。

まぁ、それでなくても即死コンボだったからな。

 

「まだです!」

 

リコが叫ぶ。その叫び声に反応したかのように、ゆっくりとゆっくりと守護者が起き上がる。

ところどころ焼け爛れ、肉は避け、肉体の中にあった骨や内蔵は剥き出しになっている。

それでも守護者は起き上がろうとする。死ねないというのは辛いな。

だが、それもどんどん再生していく。瞬く間に、

 

「マジかよ………」

 

信じ切れないとばかりに唖然とした感じで大河が呟く。

まぁ、わからんでもないが。少なくとも俺はあれを相手にはしたくない。

 

「導きの書の守護者は、不死ではありませんが」

「が?」

「限りなく、それに近い存在です」

「それを早く言えよ!!」

 

リコの言葉に、大声で大河はつっこんだ。そりゃまぁ、そんな話は聞いていないだろうからな。

 

「お、お兄ちゃん!」

 

未亜が叫ぶ。それに反応して大河が守護者の方を見ると、すでに7割近くが再生していた。同時に、キマイラは臨戦態勢に入る。

 

「おうおう、殺る気満々って感じだな」

 

どこか呆れたように大河は呟く。そうしている間にも、守護者はどんどん体を再生させていく。

 

「へ、不死に近いってなら答えは簡単だな」

 

そう言って大河はトレイターを構えた。トレイターの切っ先を守護者に向ける。

 

「だね。一つしか思い浮かばないよ」

 

 未亜も大河に同調するようにジャスティの照準を守護者に向ける。

 

「「死ににくいのなら」」

 

そう言いながら大河と未亜は全身に力を込めた。

それに反応したかのように守護者も全身に力を込める。すでに守護者は100%、体を再生させた。

 

「「死ぬまでぶっ飛ばす(倒す)!」」

 

そう叫ぶと、大河は未亜の援護を受けながら一気にキマイラに突っ込んだ。

 

 

 

 


後書き

 今回は原作と違い、最初から未亜がいますがさしたる変化はありません。

 白の主に覚醒していない未亜がいたところで不死に近い守護者相手ではいなくても同じです。

 しかし、未亜は確実に成長しています。

 大河と同調して守護者と立ち向かう姿は原作とはかなり変わっているでしょう。

 

 

 

 

 

??「またしても蛍火が裏方」

 いや、仕方ないじゃん。蛍火は表に出てないんだから。

観護(というか主人公が出てきてるのに一言も話してないのはSSとしてどうなの?)

 分からん。こういったSS自体の前例が限りなく少ないだろうから……

観護(まぁ、大河と未亜の成長が顕著に見れたからまだ私はいいけどね)

 んだね。蛍火の暗躍のお陰で未亜なんて原作以上の心の強さを持ってしまってるからね。

??「ペルソナ、次こそ蛍火は活躍するよね?」

 言わないよ♪ そんな完全に次回のネタバレなんかするはずもない。

 まぁ、歴史はやっぱり歪むとだけ言っておこう。

??「どこまで歪むのかぐらい言って欲しい」

 その内分かるよ。では、次回予告

観護(苦戦する守護者との戦い)

??「その過程で、白の主は原作と同じ人物になってしまうのか?」

 では、次の話でお会いいたしましょう。





次回はいよいよ敵地へ。
美姫 「敵地と言うか、まあ一応は村なんだけれどね」
確かにな。しかし、表立って動けない蛍火はどうするつもりなのかな。
美姫 「これも大河たちを成長させるためだから、何もしないんじゃないの」
だろうな。だが、不測の事態というものは、いつ起こるかは分からないぞ。
美姫 「何事もなく無事に終わるのかどうかって所が楽しみね」
うんうん。次の話はどうなっているのかな〜。
美姫 「気になる次回はこれまたすぐ!」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る