『トラハ的な日常1・2・3』






 設定は恭也が大学2年いわゆるALL ENDのご都合主義です。
 トラはシリーズの1.2.3混在SSって事でそれでもいいよって人は進めてくださいませ。








  

 闇に降り注ぐ月明かりの中、鈍く輝く巨体に銀色の線が弧を描き振り下ろされる


 「せぇぇぇい!」

   ギィィン!!


 火花を散らし『斬』を打ち込む美由希だが無常にも硬い装甲に弾かれ美由希の手に痺れを残す

 「つぅぅ!・・・硬すぎるよ恭ちゃん・・」

 「・・・・・美由希『斬』だけじゃコイツには通らない『徹』も込めろ」

 「うう・・・そんなの全部に込められるの恭ちゃんとか〜さんくらいだよ」

 「泣き言を言うな、退く場所などないコイツを止めなければ・・・・」

 そう言う自分も所々衣服は焦げそこからは僅かながら血も落ちていた。
 しかし美由希の言う事も最もだな・・・
 苦笑をこぼし金属の怪物がもつ強固な装甲を睨む。


  「神気発祥」 『神威 楓陣刃!』

  「神気発祥」 『退魔弓術 紅蓮法!』


 耕介さんの放った霊気の刃と葉弓さんからの光が宿った3連の矢が襲い掛るが
 しかし・・

 「・・・・・ギギ・・」


  ギガンッ!!!

 
 今回も直撃かと思われる直前に青い光の壁が二人の攻撃を弾き霧散させる。

 「駄目か・・・・」

 「僕たちみたいにシールドが張れるみたいだ・・シールドの内側まで接近するしか・・・」

 相手の動きは決して速くは無い、攻撃も強力だがかわせない訳ではない。
 しかし鉄よりも硬くさらに遠隔にはシールドさえ張れる相手に先ほどより一つとしてダメージを与えた攻撃や斬撃はなかった。






 第9話
 闇夜






 「はぁぁぁ!・・・神気発祥!」 『神威 洸桜刃!!』


 那美さんが放った金色の霊気の波も金属と岩で出来た化け物は容易くシールドで弾き消滅させる


 「ああああぁぁ!!!」

  ゴギン!


 美沙斗さんの斬撃は見事に脚部の間接部に入るが刃が数センチ通るくらいでやはり止められた。
 美沙斗が使う無名の小太刀は恭也の『八景』や美由希の『龍鱗』のような業物ではない、
 刃は欠け少なからず罅が入ってもはや辛うじて持ちこたえている状態だ。

 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」

 幾度となく放った霊力は決定打を与えられず、霊力と体力だけが無駄に削られる。
 那美さんの荒い息遣いは離れているここまで聞こえていた。

 「那美さん!さがってください!」

 「恭也さん・・・まだです・・まだ退けない・・・ごほっ・・」

 「那美!恭也君の言うとおりじゃ!退かんね!」

 そう叫ぶ薫さんもにじみ出る汗はとうに尋常ではない。
 そうしてる間にも相手は攻撃の手を休る事はなかった


  ゴウン・・・ギィィィィ!・・・


 奴の右腕についている砲身に青い稲妻らしきものが収束され一気に耕介さんたち目掛け放たれる。


  ズシャァァァーーー!!!


 放射状に地を這う蒼い光の波が周囲の砂を巻き上げながら知佳さんとフィリス先生が張るシールドに直撃

 「あうぅぅぅぅ・・・」

 「ぐぅぅぅぅ!?」

 「あかん!?」

 二人で抑えきれず楓さんがとっさに結界を張るがそれでも辛うじて防ぐ状態だ。
 シールドと結界を通しても防ぎきれない衝撃がわずかに皆の体を揺さぶる。

 「「「きゃぁぁぁ!!」」」

 「伏せて!!」

 瞳さんの叫び声で皆が地面に伏せる、そんななか久遠が飛び出した

 「あ!?く〜ちゃん!」

 「くぅぅん!」

  バシュッ!

 大人の体に変化した久遠

 「ああああああ!雷!!」

 ズシン!と地に響くおおきな稲妻を相手に落とすがそれすらも光の幕を頭上に張り防いでしまう。

 「どうにかならないの!?忍!」

 「うう・・そんな事いったって初めてあんな化け物みるんだもん弱点なんてわからないよ・・さくらぁ・・(泣」

 「くそぉ・・・どうにもならないのかよ・・・」

 「おサル!わかっとるやろうけど無闇に飛び出してもお師匠たちの邪魔になるだけや!」 

 業を煮やした晶にレンが静止をかけるが止めるレンも硬く拳を握り悔しそうにうつむく

 「耕介さん・・・・」

 「愛さん、大丈夫や耕介くんはそう簡単にやられたりせーへん、このゆうひさんが保障したる!」

 「そうなのだ!耕介は殺そうとしても死なないのだ!」

 「美緒ちゃん・・ゆうひさん・・」

 そんなやり取りが聞こえてきて少し心が落ち着く・・しかし、
 なんとか状況を打破しなければリスティさん達が張るシールドも何時破られるかわからないな・・・



 「美由希『神速』を何回使った?」

 「はぁ・・はぁ・・恭ちゃん?ええと・・3回かな」

 「そうか、次で突破口を俺と美沙斗さんで開く・・・そこを攻めろ」

 「出来るの!?」

 「分からん、だがやるしかない・・・美沙斗さん、次の向こうの一撃に俺が合わせます」

 「分かったよ、それに続いてこじ開ける。美由希いいね」

 「は、はい!」

 とは言っても攻撃される方向を固定しなければ難しい
 ならばこちらに向けさせるまでだ!

 「いくぞ!」

 鋼糸を相手の右腕にある砲身に絡めると同時に一気に走り出す

 「恭也君!?」

 耕介さんの声が届くが無視して走る、おそらく奴は自分目掛け右腕の武器をつかうはず・・・・
 
 「ギ・・・」

 案の定急速に右腕の先に光が収束する
 もう少し!!

 「美沙斗さん!!」

 そう叫ぶと同時に美沙斗さんと『神速』を発動させ右腕の砲身めがけ瞬時に詰め寄る

  ドクン・・・ドクン・・・・

 モノクロの世界でいやに自分の鼓動が響いて聞こえる中、
 目の前の光を潜り抜けるようにして砲身の根元めがけ切りかかる!


  御神流奥義 『虎切』


 御神が誇る長距離射程の抜刀術、本来打ち下ろすのが基本だがすくい上げる様な切り上げた剣筋で叩きつける。
 一撃の威力なら奥義のなかでもトップクラスの斬撃に今まで弾き返された『斬』も砲身の半分ほどまで食い込む
 そこに彩をもった美沙斗さんがさらに上からの『虎切』を重ねて打ち下ろす。


  ギガンッッ!!!!


 凄まじい金属音をのこし光の灯った右腕と『虎切』に耐えられなかった美沙斗さんの小太刀の刃が宙に舞った・・
 それと時を同じく『神速』に入った美由希の奥義が奴の右わき腹上方に突き刺さるのを見据えた。


  御神流奥義の参 『射抜』


 「せあああぁぁぁあ!!!・・」

  ドンッッ!!・・・ズズズズ・・・・


 金属と岩で出来た巨体が美由希の放った『射抜』の直撃を受け僅かに砂浜を滑る、踏み込んだ地面が爆ぜる驚異的な一撃
 だが、衝撃が足りない・・・刃は完全に突き刺さっているのだがダメージがやはり足りない・・・駄目か!?
 そこに右腕を構えたノエルが視界に入った


 「カードリッジフルバースト ファイエル!!」

  ドゴンッ!!!


 ノエルの腕が弾け飛ぶのでは?と思わせるような爆発音と共に美由希が咄嗟に『龍鱗』を引き抜きその傷跡にマトモにヒットする
 ノエルが打ち出した腕が傷跡付近の装甲を吹き飛ばし内部を露出させた。


 「まだだ!!・・・神気発祥!」

  神咲一灯流奥義 『封神 楓華疾光断!!』


 「サンダァーブレイクッ!!」


 耕介さんの今までより遥かに大きい霊気の巨大な刃とリスティさんの収束された稲妻がさらに追い討ちをかける
 終わった・・・と思った次の瞬間!?
 今まで巨体の背後に浮いていた物体が輝き今まで一部分しか張られなかった蒼い光の幕が
 奴を中心として一気に押し出されるように広がった!

 「ギギ!?・・・」

 金属のすり合わされるような音を発し踏みとどまった化け物からまるで衝撃波のごとく広がるシールドが目の前に迫る
 それは耕介さんとリスティさんの攻撃をかき消し、なおも衰えることなく向かってきた。


 「美由希!!退け!!!!美沙斗さんも!!」


 咄嗟にそう叫び回避行動に入った二人を視界に納め自分も『神速』を発動させるが・・・・
 まるでモノクロの世界に彩を灯す壁の様に迫ってくる・・・・不味い!間に合わん!?

 咄嗟に体を丸め衝撃を最小限に抑えるが、回避に入った背後から全身を突き抜ける衝撃がドンッ!とはしり吹き飛ばされる

 「ぐぅ!?」

 「あぐぅ!!」

 美沙斗さんと美由希の声が聞こえ、それと共に自分の体が凄まじい速度で投げ出されたのを感じた。
 全身を軋ませながらなんとか体勢を宙で整え地面に足をつく・・・・だが勢いは収まらず小太刀を地面に突き立て
 それでもなお数メートル宙で捻った体を砂浜に滑らせながらようやく止まった・・・・


 「お兄ちゃん!!お姉ちゃん!!」

 「恭也!美由希!!美沙斗さん!!」


 離れた所から母さんとなのはの悲痛な声が聞こえた

 「「「恭也君!!」」」

 数人の声も聞こえるが意識が少し遠ざかる・・・
 そんな所にすぐ横から聞きなれた声が聞こえ意識が再び呼び戻された。

 「ううう・・・恭ちゃん・・・ゴホッ・・」

 『射抜』を打ち切って自分の脇に駆け抜けた美由希だった。

 「大丈夫・・・か・・」

 「な・・なんとか・・・・今の何だったの・・?」

 両手を地面につきなんとか起き上がろうとする美由希だが自分と同じく先ほどの衝撃でかなり深手を負った様だ。
 直ぐに体の各部位でダメージを確認する。
 右膝・・・痛むがなんとか動く。両腕・・・左腕が駄目だ折れてないだろうが恐らく罅でもはいったか・・・
 あとはアバラが数本、恐らく完全に折れているな。そして予想してたより全身が軋む。

 「思ってたより悪いか・・・美由希・・・どうだ・・・」

 「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁぁぁ・・・肩に罅、あとはアバラが数本って所・・かな。恭ちゃんは・・?」

 「・・・まだ動ける」

 そう言って美沙斗さんを探す。
 居た、丁度右腕を失い脇腹付近から煙をあげる奴の向こう側で小太刀を地面に突き立て、立っている美沙斗さんが見えた。

 「美沙斗さんも無事のようだな・・」

 「か〜さん・・・よかったぁ・・」

 「それに、奴もかなりの深手を負った様だ・・・」

 先ほどの衝撃波で出来たであろう大きなクレーターそこに奴は動かずにいた。
 よく見れば体の節々から火花や微かな煙があがっている。
 しかしゆっくりと起き上がる。

 「・・・!!奴はまだ動くのか!?」

 「え!?」

 全身から軋ませる音を響かせて左腕の変わりに付いている『箱』の蓋が開き上空へと向けた。
 何をする気だ!!

 「くそ!」

 走り出そうとするが体が言う事を聞かず中々たちあがれない!
 その時、突然黒い人影が化け物に走り寄り左腕の接続部を切り飛ばした。

 「耕介さん・・・薫さん・・」

 薫さんは千切れかけた脚部の一本を関節部分から両断する
 さらに・・


 「神気発祥! 破魔真鳴流奥義 『桜華封滅覇!!』」


 葉弓さんの弓から放たれた薄紅色の光の筋が傾いた奴の脇腹に光の粒を散らしながら吸い込まれれていった。


 「綺麗・・・」

 
 「ああ・・・」

 吸い込まれた光は体の関節や節々から漏れ出しやがて全身に駆け巡ると静かに消えていく。
 その後、金属と岩の体を持つ巨体は動きを止め音を立てながら傾きやがてその巨体を砂浜に横たえた・・・。



 「終わったな・・・・」

 「うん・・・もうあんなのとは戦いたくないよ・・・」

 「そうだな・・まぁ良くやった美由希。皆無事だ」

 皆がこっちに駆けてくるのを見ながら美由希に声をかける

 「えへへ・・・良かっ・・た・・」 

 そう言うと美由希は意識を失った
 今回は良くやったしな・・・。
 そう思いながら視界が闇に覆われていくのを感じ、自分の意識も手放した。

 「恭也くん!!」

 薄れ行く意識のなかで、フィリス先生の声が聞こえた。
 まいった・・また絞られそうだ・・・・。

 「フィリス、恭也と美由希は・・!」

 「・・・・・はぁ・・・気を失っただけです。」

 「そうか・・・」

 「リスティがそんなに慌てるの初めてみたわ(苦笑」

 「ふん・・」

 「とりあえず、コテージに戻ろう。ここも安全とはいえない」

 「そうだね」






     □ □ □





 「耕介くん、恭也と美由希は?」

 「今、二階の部屋で眠ってます。御架月が付き添ってるので」

 「・・・すまないね」

 「楓と葉弓さんで治癒はかけました。後はフィリスが見てるので大丈夫ですよ」

 「そうか。有難う」

 しかし、恭也くんの体・・・人はあんなに鍛えられるものなのか。
 俺ももう一度鍛えなおさないとな・・・

 「どうしたの?お兄ちゃん」

 「ん?いや、恭也くんの体をみて自分ももう一度鍛えなおさないとな・・ってさ」

 「そんなに凄いんだ・・・」

 「ああ、みたらきっと驚くぞ」

 「見たらって・・・(ポッ」

 顔を真っ赤にしながら悶える知佳。
 こういう知佳もめずらしいな・・

 「耕介さん!今、恭也裸なの!」

 「忍ちゃん・・・まぁ治癒かけて包帯巻いたからね」

  ゴクン・・・

 ゴクンって・・

 「忍、デジカメなんて持って何処行くの・・・?」

 「へ?あはは・・・ちょっと庭の花でもとろうかなぁ〜と思って・・・」

 「ふぅ〜ん・・・庭はアッチよ・・・・」

 「あ、あははは・・・さくらも行く?(汗」

 「結構、いいからコッチきなさい」

 「はぁ〜い」

 これじゃ恭也くんもゆっくり休んでられそうにないな・・(苦笑

 「桃子さんもですか?(苦笑」

 気付かれない様こっそりリビングを出ようとしている桃子さんに声をかける。
 勿論、その手にカメラがあるのは言うまでもない。

 「や、やぁね〜恭也の部屋になんかいかないわよ・・♪(汗」

 「鷹城さんも戻りなさい」

 「うう〜唯子も見てみたいよぉ〜。瞳さんもみたくない?」

 「な、何言ってるの!」

 瞳・・顔が赤いぞ・・・

 「皆、恭也くんと美由希ちゃんは怪我人なんだゆっくり休ませてあげよう」

 「耕介は平気なのかい?」

 「霊力は空っぽだよ、さっきの戦闘でね(苦笑」

 「じゃぁ宴会の用意は誰がするんだ?」

 「真雪さん、やっぱりするつもりなんすね・・」

 「当たり前だろ?今しなくていつすんだってな(笑」

 まったく、この人は・・・
 皆が沈まないよう気をつかってるんだろうけど。

 「じゃあ、うち等がやります〜」

 「おお♪高町家の鉄人二人か」

 「今回俺らなんにも役に立ちませんでしたから(苦笑」

 「それじゃぁ、私も手伝わないとね♪悔しいけど晶ちゃんの言うとおりだわ」

 「私も手伝うわ」

 そう名乗りを上げたのはさくらさんだ。。

 「このアイリーンさんも手伝うわよ♪」

 「よっしゃ!ならうちは盛り付けや」

 次々に名乗りをあげる皆。
 ・・・・やはりジッとしてるのが辛いのかもしれないな。

 「あたしも盛り付け手伝うのだ!恭也を驚かせてやるのだ♪」

 「なら私も料理を手伝います♪」

 そう声をあげた愛さん・・・・

 「い、いや!いい!愛は部屋の用意をたのむわ(汗」

 「ですけど・・・」

 「「「「「「こっちは足りてるから部屋をお願いします!!」」」」」

 「そうですか?」

 「「「「「「お願いします(汗」」」」」」

 助かった・・・自分の大切な女性に言うのも気が引けるが、ここは仕方ない(汗
 前よりうまくなったけど愛妻弁当だけでいっぱいいっぱいだし・・・(泣
 そこに二階から楓と葉弓さんが降りてきた。
 二人とも疲れの色が見えるな・・・

 「なんや・・・この騒ぎは」

 「お疲れ様、ちょっとね。二人はどうだった?」

 「骨はもう大丈夫。ただ疲労と体の軋みは休まなとれへんしなぁ」

 「ええ、一応札は貼ってますから普通よりは早く回復するでしょうけど」

 「有難う」

 「何言ってるんや、助けてもろたんはこっちやし」

 「そうかもな、二人も少しやすみなよ。俺もちょっと休むから」

 さすがに限界が近い・・・霊力技の連発と奥義までつかったからかな・・・
 自分で思ってるよりやばそうだ。

 「僕らも休むよ、羽の力をフルでつかったからね・・・知佳とフィリスつれてフィアッセが寝てる隣でやすんでる」

 「ああ、了解。俺は二階で休むからなんかあったら起してね」

 「葉弓さんとうちはそこのソファーでいいわ」

 「それじゃ、皆悪いけど休ませて少し休ませてもらうね」

 キッチンへ向かう皆に声をかける。

  「「「「は〜い」」」」

 リビングを出ようとしたら忍ちゃんに出くわした。

 「忍ちゃんも料理かい?」

 「私はノエルの腕直さないと・・・ねノエル♪」

 「フルリロードでファイエルを撃ったので接続部がいくらか損傷しております」

 「うん・・・吹き飛んじゃったしね・・・直ぐ直してあげるから」

 「済まなかったね・・・無理させちゃって」

 「いいえ、皆様を守れたのですから。それに忍お嬢様も」

 「そうか・・」

 最近ノエルさんのこと知ったのだけど、本当に家族なんだな。
 なんだか心が温まる思いだった。

 「それじゃ、あとでね」

 「はぁい」

 「では、後ほど」

 二階の部屋につくなりベットに倒れこむ。
 気持ち良い・・・・柔らかな感触が酷使した体に染み渡る。

 「しかし・・・あの化け物は何処から・・・」

 突然浜辺に現れた奴は、どうみても人が作ったものだった。
 だが向こうが使っていた銃火器は明らかに見た事ないものばかり、
 いや・・・今の科学であんなものつくれるのか・・・・

 「・・・・・・」

 どうやって突然あらわれたのか・・・明らかに現代より進んだ技術でつくられた武器は何を意味してるのか・・
 そして何故自分達をおそったのか・・・

 「分からない事だらけだな・・・」

 考えを纏めようとしても睡魔にかてそうもない。

 「寝よう・・・」

 そう思うとすぐに睡魔がおそってきた。





      □ □ □






 「・・・・!・・・さま!・・・・」

 「こう・・・さま!!」

 「ん?・・・・んん・・・」

 誰かがよんでる?

 「耕介さま!!起きてください!!」

 「御架月?」

 目を開けると御架月が必死に起そうとしていた。

 「大変です!!皆様が・・・」

 「え・・・」

 「とにかく起きて一階へ!!!」

 何があったんだ?
 すぐに御架月を持ち下に降りた。
 そこには・・・・

 「・・・・皆は何処に行ったんだ・・・・」

 「それが・・・つい先ほどまで皆様の気配はあったんですが・・・突然・・・」

 リビングには暖かい料理が湯気を上げていた。
 だが誰も居ない・・・・気配もない。

 「リスティ達は!」

 直ぐに隣の部屋に向かったが、そこには寝ていた形跡だけが残っていた。
 
 「・・・・・・・」

 「何が起こったのか・・・・本当に突然気配が消えたんです」

 「恭也くんと美由希ちゃんは」

 「お二人は大丈夫です・・・まだ眠りからさめていません」

 「そうか・・・」

 二階で寝ていた三人は無事だった・・・だがアレだけの人数が一瞬で居なくなるなんて有り得るのか。
 様々な考えが頭を過ぎるが、さらに混乱を呼ぶだけだった。

 「二人を起そう・・・・」

 「はい」

 二階の二人の部屋に行く。
 そして恭也君のベットに近づくと突然恭也くんがおきあがった。

 「誰だ・・・」

 「僕だよ」

 「耕介さん。おはようございます」

 「ああ・・・おはよう」

 「どうかしたんですか?」

 「直ぐに美由希ちゃんを起して下に来てくれ」

 「・・・・・分かりました」

 雰囲気で何かあったと悟ったのか、驚きもせず素早く装備を整えた。
 美由希ちゃんを恭也くんが起しに行ってる間に心を落ち着ける。
 二人になんと話すか・・・・


 「・・・・・・・ねぇ、恭ちゃん。みんなどこ・・」

 「・・・・・・・」

 「何処に行ったの?」

 「・・・・・・・」

 恭也くんは何も話さない。

 「何処にいったの!?」

 「落ち着け!美由希!!」

 二人は俺よりも気配が鋭く感じられるからだろう。
 コテージの中どころか島にすら気配がないのに気付いたみたいだ。

 「耕介さま・・・・」

 「大丈夫だ・・・葉弓さんや楓、美沙斗さんも皆と一緒なんだ・・・」

 「ええ・・・リスティさんたちも恐らく一緒のはず」

 まるで自分に言い聞かせる様に話す。

 「もしも皆を誰かが連れ去ったなら、私は許さない・・・・絶対に!!」

 「落ち着けと言ったはずだ・・・まだ決まったわけではない」

 「でもぉ・・!!」

 「恭也くんの言う通りだよ。怒りは判断を鈍らせる」

 「耕介さん、いつから皆の姿は見えなくなりました?」

 「それが、分からないんだ。俺は二階で休んでて異変に気が付いたのは御架月だよ」

 「はい・・・つい先ほどまでは皆様いらっしゃったんです。でも突然ぱったりと気配が・・・」

 「皆が一瞬で消えるなんて有り得るんでしょうか・・・・」

 「分からない・・・でも化け物の件も有る。アイツは如何見ても自分達が知ってる物で出来てた様には見えなかったからね」

 「たしかに」

 とにかく探そう・・・そう言葉をつなごうとして二人の動きが止まったのに気が付いた。

 「どうしたんだい?」

 「・・・何かが、こちらに向かってきます」

 「うん・・・この音」

  ババババババ・・・・・・

 「何の音だ・・・・」

 段々大きくなる・・・どこかで聞いた事あるような。
 そして急激に音が大きくなり三人とも臨戦態勢をとった。

 「あれは!ヘリ!?」

 庭に突然現れたヘリコプター・・・
 低空でホバリングし扉が開いたかとおもうと人影が舞い降りた。
 その後ヘリは遠ざかりその人影だけが庭に残っている。

 「美由希、飛び出すなよ」

 「はい・・・」

 人影はゆっくり此方に歩いてくる。

 「女性・・・みたいだな」

 歩くたび首の下辺りまでのびた髪が揺れていた。
 その女性は窓の直ぐそばまでくると・・・

  ガラッ!!



 『忍ぅぅ!!あんた私の別荘こわしたんですってぇぇぇ〜〜〜!!!!』

 

 「「「・・・・・・(汗」」」

 「アラ?(汗」










 第10話

 来襲

 に続く











 ひよひよです。

 

 今回、書き上げるまで随分時間がかかってしまいました・・・

 仕事忙しすぎです・・・

 休んで新潟いってたのもありますが^^;

 ではでは次回でまた。

 急いで書き上げまする;



 ひよひよでした。



投稿ありがと〜。
美姫 「強敵を倒したのも束の間、次なる問題が恭也たちを襲う…」
突然消えてしまった皆の行方は?
美姫 「恭也たちは無事に皆を見つけ出せるのかしら?」
緊迫しつつ次回を待て!
美姫 「それじゃ〜ね〜」
…………。うぅー、緊迫感が薄れてく……。



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