『トラハ的な日常1・2・3』






 設定は恭也が大学2年いわゆるALL ENDのご都合主義です。
 トラはシリーズの1.2.3混在SSって事でそれでもいいよって人は進めてくださいませ。







「はぁ・・・・」

 高町恭也はものすごーーーーく後悔していた。
 遡る事、二時間ほど前。


 「大丈夫か!なの・・・は・・・」

 「「「「きゃぁぁぁああ!!」」」」

 「す!・・すいません!?」

 なのはの危機だと勘違いし女性陣がお風呂に入っているところに乱入してしまった事であった。






 第8話
 始まりのとき






 那美さん曰く・・

 「裸をみられてしまいました・・・」

 「こうなったら責任をとってもらうしか・・・」

 知佳さん曰く・・

 「まぁ・・事故だったんだし・・・」

 「でもでも、裸を男の人に見られたのはお兄ちゃんにお風呂覗かれた以来はじめてかも・・」
 
 「耕介、ちょいと話がある・・」

 「耕介さん、ちょっとこちらに」
 
 その後、耕介さんは真雪さんと愛さんに引きずられて何処かにつれてかれたまま姿を見ていない。

 「知、知佳〜〜!恭也くん!違うと言ってくれぇ〜〜〜!!・・・・・」

 美由希に至っては・・・

 「恭ちゃんに汚されちゃった・・・絶対に責任取ってもらわないと(ニヤソ」

 「恭也・・勿論美由希の裸体を見たんだから・・わかってるだろうね」

 「イヤ・・・勿論私にでも・・ごほっごほっ」

 「か〜さん!駄目だよ!恭ちゃんは私の物なんだから!」

 いつもならゲンコツ一発で美由希は黙らせるのだが、今回ばかりは圧倒的にこちらの分が悪い。
 ひたすら地面に頭をこすりつけ平謝りした。
 しかし事故とはいえ、未婚の女性の裸体を覗いてしまった事にかわりない。
 申し訳なさで、本気で切腹も覚悟した。

 「お!お兄ちゃん!なのはは気にしてないよ!」

 「いやしかし・・・」

 「そ!それになのはを心配してだったんだよね?だから其処までしなくても!」

 その傍らでは高町母が

 「士郎さん・・さすが貴方の息子です。こんな立派に『覗き』を・・」

 やけに『覗き』と言う部分を強調しながらニヤニヤとこちらも見ていた。
 だが、言い返せる訳もなく・・

 「・・・漢、高町恭也・・自分に出来る事ならどのような責任もとります」

 としか言えない。
 そこからの数人の行動は早かった・・・

 「じゃぁ!私と神咲に・・・!」

 「那美ちゃんずるいよ!」

 「那美さんそれは駄目だよ!恭ちゃんは私と・・」

 「美由希、それはまだ早いよ・・・まずは私と話あって」

 収集が付かなくなりそうな所を止めたのは意外にも傍観していた外野からであった。

 「はいはい、そこまでだよ〜。そんな抜け駆けの仕方は忍ちゃんが許さないんだから」

 「たしかに、ちょっとズルイよね〜」

 声を上げたのは忍とフィアッセ、そこに続いたのはアイリーンさんだ。

 「う〜ん、公平じゃないのは確かね」

 「いっそ私たちも覗いてもらっちゃう?」

 「な!何いってるの!?忍!」

 「あははは、さくら真っ赤だよ」 
 
 いや・・こちらも真っ赤なのだが・・・

 「まぁ冗談はともかく私は気にしてないわよ」

 「唯子も平気だよ〜」

 「だから、海鳴にもどったら一日付き合ってもらうと言うのはどうかしら?」

 「勿論、一人づつね♪」

 そう提案する瞳さん

 「うう・・・うらやましいかも・・私もはいってれば」

 「いいのかい?フィリスお子様体型がばれるかもしれないよ?(ニヤ」

 「リィ〜〜スティ〜〜〜!?だれがお子様体型ですってぇ〜・・」

 何やら変な方向に話が向かっている

 「自分なんかと出かけても楽しくないのでは・・・」

 「じゃぁ決まりね、皆もいい?」

 「「はぁ〜い♪」」 

 「勿論桃子さんとも一対一でね♪恭也」

 「母さん、何を・・」

 「お兄ちゃん、なのはも宜しく♪」

 「くぅくぅ〜ん♪」

 もはや何を言っても無駄か・・
 そうして帰ってからの予定が一気に数日分埋まった
 俺なんかと出かけても面白くないと思うのだが・・・




 「お疲れ様恭也くん。どうだい?」

 「耕介さん、特に変わりありません」

 「そうか、それにしてもさっきは大変だったね」

 「耕介さんも・・・姿がしばらく見えませんでしたが?」

 「・・・・・・聞かないでくれると嬉しいんだけど・・」

 「そうですか・・・」

 あえて聞くまい。

 「相川さん達はお昼ごろっていってました?明日の」

 「みたいだね、薫も一緒にみたいだし」

 「ええ、久しぶりですね。薫さんと会うのも」

 「仕事で暫く離れていたからね」

 薫さんはここ暫く本家に戻り長期の仕事だと聞いていた

 「薫には御架月を持ってきてもらう予定だから」

 「戻っていたんですか」 

 「霊剣ってやつは、普通に研ぎには出せないんだよ」

 なるほど・・霊剣というのは普通の刀ではないしな。
 なんせ『話せる、見える』そんな世界を知ったのは本当に最近だ。

 「さてと、そろそろ戻るけど・・どうしようか、付き合おうか?」

 「いえ、特に何事もなさそうですし平気ですよ」

 「そうかい、悪いね。何か有ったら遠慮しないで呼んでくれていいよ」

 「はい有難うございます」

 「こちらこそ。それじゃ」

 「おやすみなさい」

 心配してた事は起きなさそうだ。 一人テラスで月夜を見上げる。
 騒がしかったが中々楽しい一日だった。
 まぁ、ちょっとした事故もあったが・・・明日にはもっと騒がしく楽しい日々を
 そう願える平穏のためにこうして夜を過ごしている。
 静かな海風に吹かれつつ夜は更けていった。





 「もうそろそろじゃないかな?さくら」

 「そうね、もう見えてくるはずよ」

 今、波止場で後着メンバーをまっている。

 「あれじゃないかな?」

 リスティさんが羽を広げ上空から声をかてくる
 波止場で待つ事数十分ようやく船が桟橋に固定された

 「お久しぶりです、薫さん」

 「久しかね、恭也くん」

 「薫ちゃん、ごくろうさま♪」

 「ああ、那美。みなさんに迷惑かけんかったか?」

 「も〜〜かけてません」

 そこでふと気が付いた、薫さんは手ぶらなのだ。
 いつもなら十六夜さんを持っているはずなのだが

 「薫さん、珍しいですね。十六夜さんを持っていないなんて」

 「そう言えば、薫?頼んでおいた御架月は・・・」

 「それが」と苦笑をたたえつつ後ろを差す薫さん
 そちらに目を向けると

 「おお!葉弓なのだ」

 「お久しぶり、美緒ちゃん」

 「うちもおるで」

 「楓までいるのだ〜」

 二本の刀を持った葉弓さんと楓さんが居た

 「仕事で一緒やったんがね、折角じゃからさくらさんにお願いしといたんよ」
 
 「恭也さん、お久しぶりです」

 しずしずと頭を下げる葉弓さん

 「ええ、本当にお久しぶりです葉弓さん」

 「恭也くん、元気しとったか?」

 「楓さんはお元気そうですね」

 「まぁな〜♪」

 葉弓さんは過去父さんとの修行の旅で神咲に寄ったおり会っておりそれから何度か薫さんや
 那美さん関係で顔を合わせていた。楓さんも同じだ。

 「ちょっと。恭也だれよ♪」

 「ああ。母さんは初対面か」

 「私達もしらないよ〜」

 「家の皆は初対面ばかりかもな、コテージに戻ったらお互い自己紹介すればよいだろう」

 そこで港を船が離れる。相川さん達は・・・

 「あれ?真一郎と小鳥はきてないのかにゃ?」

 「ああ、相川さん夫婦はどうしてもレストランが忙しいらしくてこっちには来れないと」

 「あら、先輩たちは来れなくなったんですか・・」

 「早めに連絡を入れようとしたらしいけど急に連絡が取れなくなったって心配しとりました」

 思わず頭を抱える・・・アレのせいか。

 「忍、あなた部品届いたんだからさっさと修理しなさいよ・・・」

 「はいぃぃ・・・了解〜」

 「まぁ募る話はコテージに戻ってからでね」

 「そうですね、耕介さん。御架月はそっちで」

 そうしてコテージに移動する




 「真道弓術、神咲真鳴流当主 神咲葉弓と申します。以後お見知りおきを」

 「神咲楓月流当主 神咲楓です よろしゅう」

 「はやや〜・・・あ!高町なのはです〜」

 「あやや・・高町美由希です」

 「この子たちの母をやっております桃子さんです。よろしくね♪」

 なんと言うか・・・高町母、勘弁してくれ・・・・
 向こうでペコペコと頭を下げあっている家の連中を横目で眺めつつお茶を啜る

 「薫さん、十六夜さん達は出してあげないんですか?」

 「それが、あんまりはしゃぐもんじゃから」

 苦笑を浮かべ刀に張られているお札を剥がす。

  シャリン・・・・・

 薫さんが抜き放った刀身は息を呑むほど美しい
 まるで朝露に濡れているのかと思わす程の打刀
 そしてそこから現れたのは・・・


 「もう!薫、ひどいですよ!」


 プンプン!と頬をリスの様に膨らましご立腹の十六夜さんだった。
 どう言えばいいのか・・こう言う十六夜さんを見るのは始めてかもしれん

 「十六夜、恭也君がみとる」

 「あらあらまぁまぁ」

 そう言いながら顔をペタペタ触られる。と言うより・・・

 「姉様!!何やってるんですか・・・」

 頭に抱きつく格好の十六夜さんに御架月が静止を掛ける。
 
 「だって、恭也様に合うのは久しぶりだったから・・(ぽっ」

 「確かにお久しぶりです十六夜さん。ですがそろそろ放してくださいませんか?(汗」

 感触がそのまま感じられる・・・
 霊剣ってやつはすごいと思う(汗
 それがやばいんだが。

 「いいかげんにせんね。またお札はってもいいと?」

 「もう、薫のいけず」

 「すいません、恭也様。姉様がご迷惑を・・・」

 「いや・・迷惑では・・それより久しぶりだな御架月」

 「はい、お久しぶりです。お元気そうでなによりです」

 「ああ、ところで十六夜さんはどうしたんだ?やけにテンションが」

 「聞かないで下さい・・・・それと、気をつけて下さいね。狙われてますよ・・」

 「狙われている!?まさか・・・『龍』か!」

 「い・・いえ。なんですか?『龍』って」

 「な、なんでもない。忘れてくれ(汗」

 「はぁ・・・狙っているのは姉様です」

 十六夜さんが?誰をだろうか

 「誰をねらっているんだ?」

 「そりゃぁ・・恭也様ですよ」

 ますますもって分からん・・・・

 「俺は狙われる様なことでもしたのか?」

 「・・・・・・・かつての耕介さまより酷いな」

 ???まったく何がなんやら(汗

 「とにかく分かった、気をつけるとしよう」

 「はい(汗」

 御架月と話していると耕介さんから声がかかる

 「みんなで、スイカ割りする事になったんだよ。行こうじゃないか」

 「いいですね」

 やはり海となったらスイカ割りである

 



  ぐ〜るぐ〜る・・・


 目の前で耕介さんが目隠しをされてグルグルと回されている
 両手に持つは御架月・・・いいのか?由緒正しき霊剣をスイカ割りなんかにつかって(汗

 「いいんですか?霊剣でスイカなんか割っても(汗」

 「たしかに本来はいかんが、研ぎを益したばかりなんでね。ある程度は体で感じ取るためだよ」

 苦笑をたたえた葉弓さんも

 「私が使ってる『神弓』でも茄子などを射ることだってありますよ」

 そう言うものなんだろうか・・つまり試し切り?みたいなもんなのか
 耕介さんが少しふらつきながら回転を止める

 「む・・・・」

 耕介さんの足さばきがスッと整う。
 見事な足捌きでスイカの手前まで一気に進んだ。
 そして迷いなく

 「むん!」

  ズパッ

 スイカは真ん中から一刀両断、見事としか言いようがない

 「「「おお〜〜〜〜」」」

 周りの皆も驚きを隠せない。
 耕介さんが戻ってきて隣にすわる

 「お見事でした」

 「そうかい?照れるな」

 そう謙遜する必要はないと思う、まるで見えているかの様な迷いのない太刀筋。
 本当に見事だった。

 「謙遜する必要ないですよ」

 「いやぁ〜〜なんというか、御架月に位置をこっそり教えてもらったら外れにくいよね(笑」

 「イカサマかよ!」

   スパーン!

 「「「・・・・・・・」」」

 「ど、どしたの?恭ちゃん・・・」

 はっ・・・・
 俺は今なにを・・・・(汗

 「まぁまぁ、こいつにはこういう使い方も在るってことだよ」

 耕介さんは苦笑を浮かべながらポンポンと御架月をかるく叩く
 霊剣って奴は、便利だと思う・・・  

 「さぁ恭也さん、スイカをどうぞ」

 「有難うございます」

 葉弓さんがスイカを持ってきてくれた、耕介さんも愛さんから受け取っている。
 うむ・・・ほど良い甘さが口に広がる。

 「旨い」

 ふと空を見上げると天気がどうやら曇ってきた様だ。
 厚い雲が広がりつつあった、夕立でもくるか・・・
 片付ける用意はしておいたほうが良さそうだな。

 「なのは、一雨来そうだ片付けの用意はしておけ」

 「は〜い」

 「それと美由希たちにも戻るように伝えといてくれ」

 「わかったよ、いこ♪く〜ちゃん」

 「くぅん」

 こちらも片付けるか。

 「あ、手伝うよ恭也くん」

 「すいません、耕介さん」

 耕介さんと片付けを始める。
 真雪さんたちも戻ってきた様だ、しかし今回の旅行では信じられないくらいおとなしい・・・
 何か帰って不気味さすら感じてしまう。

 「ん?なんだ?青年」

 「いや、なんでもないですよ」

 「そういや、昨日の晩はどうだった?」

 見張りの事だろう、やはりばれていた様だな
 
 「特に変わった事は・・・・」

 「そうか、すまなかったな」

 「いえ、気にしないで下さい」

 「まったく、こっちの男はぐっすりねてたみたいだけど」

 そういって耕介さんの耳を引っ張る真雪さん

 「いてて・・・疲れてたんですよ・・・」

 「ん?〜〜『ナニ』をして疲れてたのかな?」

 ニタ〜っと小悪魔の笑みを浮かべるさざなみの魔王


    リィィィ・・・・・


 ん?この音・・・たしかアノ帰り道で・・
 
 「もう〜お姉ちゃん、お兄ちゃんをいじめないの」

 「ちっ、小姑め」


    リィィィィィ・・・・

 ズキリと耳の奥が痛む、音が大きく・・・

 「なんだ・・・・」

 「どうした?青年」

 「いや、音が・・・」

 突然背後にリスティさんが現れ頭の中に直接話しかけてきた


 (恭也!様子が変だ・・・皆を早く戻らせたほうがいい)

 (!聞こえますか?この音)

 (ああ・・・どうやらここらの気圧が一気に減ってきてるみたいだよ)

 (嫌な予感がします)

 (僕もだよ、フィリスにはもう伝えたから)

 (了解)


 何かが起こってる、間違いなさそうだ。

 「美由希!皆を呼びにいけ」

 「え?どうしたの?」

 「いいから早くしろ」

 こちらの只ならぬ雰囲気に美由希も表情を引き締める

 「真雪さん、いやな予感がします。早く愛さんたちを連れてコテージへ」

 「わかった・・・知佳、ゆうひ達をつれてもどれ」

 「う、うん!」

 そこに美沙斗さんとフィアッセが戻ってきた

 「恭也、感じたかい?」

 「ええ・・・何かが・・・」

 「恭也・・・」

 不安そうな瞳のフィアッセ 

 「フィアッセ、なのはは?」

 「来てるよ、桃子もレンや晶も」

 母さんも戻ってきた

 「ちょっと、どうしたのよ」

 「わからん、だがコテージに皆を・・・」

 連れて行ってくれ・・そう言おうとした時突然浜辺の海側に水柱があがった。



  ドッッッオオオォォン!!!!



 「なんだ!?」

 「「「「きゃああああ!!!」」」」

 「皆!!はしれっ!!!」


 幸い全員こちら側に戻っていた、


 「美由希、お前は装備をとってこい!!」

 「はい!」

 耕介さんと薫さんが十六夜と御架月を構える。

 「耕介さん!薫さん!まだ相手がわかりません!」

 「でも、武器を持ってるのは俺と薫だけだよ」


  ザザザザ・・・・


 先ほどの水柱か降ってくる中、だんだんとシルエットが浮かんできた。
 だが砂煙も上がっておりはっきりとは見えない

 「なんだ・・・あいつは」

 「大きい・・耕介さん迂闊に飛び込んだら危なかとです」

 薫さんが楓さんと葉弓さんに声をかける

 「葉弓さん、戻って『神弓』を、楓あんたは結界をはっとくれんね」

 「わかりました」

 「了解や」

 こちらも美沙斗さんと共に少し前進するが手持ちの獲物が・・・

 「美沙斗さん、手持ちは」

 「たぶん、恭也とかわらないよ・・」

 今あるのは、3番鋼糸、飛針が三本と小刀が2本・・・正直厳しい。

 「ノエル、恭也たちに加勢して」

 「了解です」

 大きなシルエットがだんだんとはっきりして来た
 しかし・・・


  ヒィィィィィ・・・ン


 何の音だ・・・いまだ砂煙が舞っている中、ボウッと丸く大きな光が点る
 

 「不味い!!皆さがれ!!!」


 リスティさんの怒鳴り声と同時に前方の砂煙の中に見える光がさらに強さを増した。

 「知佳!フィリス!全力でシールド!!」

 「なに!?」

 一斉に光る翼を広げ前方に光の幕を張る三人
 次の瞬間前方に光が溢れた・・・


  ゴオォォアアアアアア!!!!


 まるで渦を伴うかの様な巨大な光の筋が真っ直ぐに向かってきシールドに当たる
 だがソレでも完全に勢いは止まらずギシギシと三人が押され始める

 「うううう!?」

 「フィリス!出力をあげろ!」

 「これでいっぱい!!」

 「知佳!フィリス!持ちこたえるんだ!!」

 リスティさんの怒号が飛ぶ
 自分はただ皆を背にをかばう様にして踏ん張ることしか出来ない。
 何も出来ない自分に悔しさだけが募る。

 「私も!」

 そう叫んだフィアッセが一際おおきな真っ白な羽を広げる

 「フィアッセ!?」

 「お願い!皆をっ・・・!」

 フィアッセの叫びと共に背中の羽が輝きを増しリスティさん達が張った光の幕の向こうに
 さらに大きく輝く光のカーテンが形成された 

 
  ギィィィン!!!


 耳を劈く音と共に巨大な光の筋は弾かれその太さを細めていった・・

 「ハァ・・ハァ・・ハァ」

 「はぁ・・はぁ・・今のは何?リスティ・・」

 「分からない、でもアイツが敵意を持ってるのだけはたしかだ・・」

 フィアッセは力を一気に使いアイリーンさん達が支えている

 「リスティさん、次は持ちませんね・・・」

 「ああ、とんでもないエネルギーだった」

 とすれば・・・次はないか

 「恭ちゃん!か〜さん!」
 
 美由希が『八景』なげてよこす

 「すまんな美由希、だがどうやら相手は化け物みたいだ・・・」

 正面で動き出したのは金属と岩らしきもので出来た体の正真正銘化け物だ。
 身長は優に2〜3メートルそれを前面の足二本と背中側の一本で支えて立っていた。背後に二対の何かが浮いている、恐らく武器だろう。
 金属であろう骨格が見え隠れし腕の部分は見た事もない形の砲身らしきもの、左腕が本来ある部分には『六角形の箱』が付いている。
 頭は『無い』そして、今の攻撃で使ったであろう武器が開いた胸部だという事もそこから吐息の様に吐き出されている光の粒でわかる。

 「忍、あんたまさか・・・」

 「違うよ(汗 私じゃないからね!(汗」

 冗談が言える内はまだいいが今回ばかりは。

 「皆、聞いてくれ」

 「コテージにはいつでも迎えるようにしてくれ。だがまだ行くのは待ってほしい」

 「安全とは言えない」

 「それと万が一の場合はかまわん自分達をおいて逃げてほしい」

 万が一と言う言葉に皆が息を呑む

 「いやだよ・・・」

 「なのは、大丈夫だ。あくまで万が一だからな」

 「そうだよ美由希と私そして耕介君たちもいる。もとより負けるつもりはない」

 「ああ、恭也くん達だけに戦わせるわけには行かないからね」

 「そう言うことだ・・・か〜さん皆を頼んだ」

 「恭也・・・もしも無事じゃなかったらゆるさないわよ・・・」

 「了解だ」

 とは言うものの活路はみえんがな(苦笑
 しかし守る戦いでは御神は負けない。後のない戦いでも 

 「楓さん、瞳さん、鷹城先生そして真雪さん皆をたのみます」

 「さくらさん、忍、万が一の場合は・・・」

 「ええ、分かってる・・・・でも絶対無事に」

 「恭也しんじゃいやだからね・・・」

 「勿論だ」




 ゆっくりと動き出した化け物が右腕の砲身らしきものを構える

 「耕介さん、薫さん、俺たち三人がまず仕掛けます。」

 「あの怪物にかい?たぶん機械だと思うんだけどヤバイ武器が満載みたいだよ・・」

 それは分かる、耕介さんも薫さんもすでに汗がにじみ出ている。

 「どちらにしてもアノ攻撃をもう一度させる訳にはいきません」

 「あのデカイ図体にできるだけ接近し近接戦闘を狙うのが得策かと・・」

 「悔しいが同感だ、葉弓さんに援護もしてもらおう」

 「ですね、何処まで刀が通じるか分かりませんが最悪こちらには『神速』があります」

 分の悪い賭けだが皆を傷つけるものは何だろうとゆるさん。
 心を落ち着ける。

 「ノエル、中間距離からファイエルを全力で叩き込んでくれ」

 「了解しました」

 「美由希、恐れるなお前は強い。左翼をまかせるぞ」

 「・・・・はい」

 「美沙斗さんは右翼から」

 「ああ・・・了解だ」

 絶対生きて戻る。


  ゴウンッ!・・・


 化け物の右腕が不気味な機械音と共に伸びている、恐らく大きな一撃がくるはずだ。
 その隙に耕介さんたちの攻撃をあてる。それしか方法はなさそうだ

 「耕介さま、来ます!」

 御架月がすぐに刀に消える

 「「神気発祥・・・・!!」」

 「破魔 神気発祥!」

 耕介さん達三人が同時に構えにはいった

 「美由希、全力でいくよ」

 「うん・・かーさん」

 


 風が強くなる中、後の無い戦いが幕をあけようとしていた。





 第9話

 闇夜


 につづく





 ひよひよでございます


 第8話ようやく書き終わりました。

 じつは長くなりすぎて9話と分けた次第です(泣

 それと『葉弓さん』と『楓さん』は

 これからの展開で必要になりそうなんで

 急遽大抜擢です^^;
 
 今後の二人に期待してたりします(笑



 第9話は半分は書き終わってるので次は

 もう少し早くださせていただけそうです;

 ではでは次回で〜



おおー。前半の雰囲気とは一転、後半はバトル。
美姫 「果たして勝利をその手に掴めるか」
9話目が早く出来そうという事で、楽しみにしております。
美姫 「ワクワクしながら、次回を待ってま〜す」
ではでは。



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