『魔法詩篇とらいあるぐるハートA's』




詩篇 〜TRANSMIGRATION OF LOVE PROVE〜 

第七話 復活、魔法剣士達なの!? 後編


会話設定


「」=人間の会話
【】=場所、他
『』=回想
≪≫=ディバイス英語、もしくはドイツ語
<>=ディバイス日本語
()=人間思っていること



























―――その姿は、リンディの戦艦と酷似していた。






―――空から戦艦が現われる。






―――現われ方は不思議で、一瞬で誰も気づかないうち現われた。






―――ヴォルケンリッターもクロノも仮面の男もフェイトもなのはも、ユーノも驚いて動くことができない。






―――だが、恭也とアルフは―――






『まさか、これで結界を破るの。まずいよ、この距離だと結界を張っても』






 プレシアの要塞の装備はあまりなかったし、攻撃的なものもあまりなかった。だが、アルフが見たかぎり攻撃が専門の戦艦はさすが
に分が悪い。






『くっ、しまった。輪廻固定化しているから、異界に在る存在があやふやにされているのは気づかない』






「この結界、やぶっちゃう〜♪(はぁ〜と) から、シャマルは闇の書の力使わないように〜♪」






 愛音の場違いな明るい声に戸惑いを隠せない仮面の男とヴォルケンリッター達。






 封時結界を破るために現われる、女神の名を持つ戦艦。






 その砲撃をチャージする姿は、なのはのSTARLIGHTBREAKERに似ていた。だが、魔力色はまがまがしい程の黒が入り交じっている。






「あれは、殺傷設定の魔力包!!まずい」






「アルフ、防御結界」






「わかってるよ」






 アルフの返事とともにエスティアから発射された魔力の塊が封時結界を突き破る。






「くぅーっ!?」






(なんて威力なんだ!?)






「―――――桜花―――――時幻流―――散花」






 その紡いだ言葉は、誰一人として聞き取れない……はずだった。





「―――――幻華」






 朱いバラのような花弁が、なのは達の周囲を舞う。






 落ちてくる花弁に触れようとするなのはとフェイトだが、触れようとすると通り抜ける。






 だが、恭也とアルフには花弁が少し、積もっていた。






 そう、まるで、―――なのは達は「そ・ん・ざ・い」しないかのように。






 魔力包を防ぎきった恭也達は周囲を見渡す。なのは達は、桜花時幻流に魅入られていて正常な状況判断がまだできない。






「守護騎士たちは....逃げられたな。しかも、結界をはらず異界に入って逃げている」






「どうするんだい? 恭也」






「どうするもない。二人で追っても勝てないし、かといって異界に耐性のないなのは達を連れていくことはできな....い」






 目を手で押しつけるように触れる恭也。幼いとき、御神流の鍛錬と交通事故にあったせいで、一回視力を失った目が痛み出す。






「大丈夫かい? 恭也」






「少し……疲れたな」






 蒼い桜の花弁が恭也の周りをスパイラル状に舞う。






 花弁が舞い上がると、いつもの恭也に戻った。






「アルフ....すまな」






「わかってるよ」






 恭也の言葉を最後まで言わせずにアルフは恭也を抱き抱えた。



























【儚い夢の一欠けら】







―――――――――六月。






 湿気が多くて過ごしにくい時期にバージンロード、ウェディング等、女性は心踊る季節である。






 そんな中、枯れている恭也はのんびりとお茶を飲んでいた。






「ウェディングドレス着たいなぁ」






「まだ先じゃない」






 下校途中であろう女子高生の言葉で、恭也は思い出してしまった。






(....っっ!?)







 理の剣士をやめた恭也だが、異界との繋がりは完全に断つことはできない。






 桃子、なのは、美由希、フィアッセ、フェイト、リンディ、晶、薫、さくら、アリサ――――――






 現在『いま』の恭也の知る人以外にもフラッシュバックされる記憶。






 結婚式場を爆破され肉片になった女性達の様子が、今遇ったかのように思い出される。






「寝る....か」






『 せめて、夢の中では安らぎを 』






















【カラオケ−シャディ】












―――――――目が覚めると、そこは異世界だった。






 異世界と言っても、青い桜の花弁とか、地面に溜まった血溜りとか、体をエーテライトで作られた人や電子データがリアライズした
恐竜ETCがいたりするわけではない。






 思考がおかしな方向に逝ってしまったが、蘇りさせる。






「さあ、今日の景品、恭也が揃いました」






 シグナム、ヴィータ、シャマル、なのは、フェイト、アリサ、忍、桃子、ノエル、はやて、リンディがいた。






 歌の評価で最高得点を叩きだした人が、一日デート件。






 どうやら審査員には、クロノ、ユーノ、ザフィーラ、仮面の男の二人が選ばれたらしい。






 司会進行は、愛音らしいことに、恭也は他人のように傍観を決め込んでいた。






「今回の優勝者はズバリ!誰だと思いますか?」






「歌唱力はフェイトが一番だ」






 これは、クロノの発言。






「恭也さんに気持ちを伝えるのはなのはが一番だ」






 この発言はユーノ。






「普段と違う自分を見せる。どれだけのギャプを見せてくれるか」






「やはり、母親が一番だろう」






 桃子とリンディを推挙する仮面の男。






「主人はやてが一番だろう」






 ザフィーラの発言。






「最初の御登場は、フェイトさんです」






「恭也さん....私の想いこの歌にすべて込めます」






「今日のフェイトさんはアダルトバージョンで白いワンピースに背中に血の付いた翼を魔力で生成し、まるで天使の姿をモチーフにし
たかのようですね」






「きっとなのはの影響だね」






「『全力全開』ってね。」






「〜今度こそ私だけの為、何故でしょう、愛故に堕ちて行く奈落」







「―――――――ラストには高町なのはだぁ〜」






「リリカルWISH〜♪転んだり〜♪」






「さぁ、これで参加者全員の歌が終了したわけだけれどね....甘いわね」






「恭也の心を振り向かせるには、こうするのよ」










































【フェイト宅】











 アルフに抱かれ眠りについた恭也が目覚めるまで、リンディ達は情報収集に明け暮れた。






 三時間程経ち、恭也が目覚めてから会議とは名ばかりの、レビュア・恭也、アルフ、レビュイなのは達によるレビュが始まった。






 レビュ対象案件は、修正案件の闇の書の索敵ツールレイアウト変更対応だ。(?)






 因みに、議事録担当はアレックスのようだ。






「まずは、バルディッシュのシステム修復しないとな」






(俺が眠っている間にシステムバグを探していたと思うが、見つかるわけがないのだから)






 断片的な夢を見た恭也だが、起きてしまうとその夢を「見・て・い・な・い・こ・と」になっていた。





「ユーノ、SAVE MEは完成しているか?」






「完成してますよ。テストはまだですけど....」






「できているなら問題ない。」






 恭也が自分の折り畳み式携帯を開く。そして、手で回転させながら上空に投げる。






「うそっ!?」






 恭也の携帯はSAVE MEになる。そのことにエイミィは驚いていた。






「凄い、物質を分解し、新に転移させた物質と共に再構築、リアライズさせてる」






 別の意味で驚いているのはクロノ。






 SAVE MEを手に取った恭也は、携帯のボタンを押す。






《777》






〈リカバリーモード〉






「バルディッシュ、セットアップ」






「えっ?」






 フェイトは自分の聞いた言葉に疑問を思った。バルディッシュはすでに自分のが登録されているのだ。他人が使えるわけがない。






《GET SET》






「えっ?えぇぇぇー!?」






 なのはは訳が分からずあたふたしていた。






《DRIVE IGNITION》






 現われたのは、全身を黒いボディスーツに身を包み、黒いグローブと手鋼、それに黒いマント、一番特徴的なのは、鼻まで被い隠す
黒いバイザー。






「バルディッシュ、ザンバーフォーム」






《SYSTEM CHACK》






《COMP》






「ーっ」






 バルディッシュを横一文字に一閃する恭也。






「まあ、問題ないな。モードリリース」






 バルディッシュはディバイスモードに戻る。






《MISSING OUT》






 普段は絶対に聞かないバルディッシュの言葉と共にいつもの恭也に戻る。






「これでバルディッシュのシステム修復完了だ」






「どうしてバルディッシュが起動したの?お兄ちゃん」






「プレシアの要塞に乗り込むときバルディッシュを使ったのを忘れたか?」






「「あっ」」






「忘れていても仕方ないか....」






「でも、どうやってバリアジャケットをあんなに早く生成したんですか?」






「そういえば、あのときはバリアジャケットは着てなかったし....」






「それは....」






「「それは?」」






「後にしよう。他に聞きたいことがある人が我慢できないようだからな」






「恭也さんはあのエスティアのこと知っていますか?」






「ああ。リンディさんが思っている通り、本物、あなたの夫が「今も」乗っている戦艦だ。」






「だったらどうして僕達を攻撃したんだ」






「―――――あなた達が知っているエスティアだが、だが、絶対に許されない存在だからだな」






「どういうことですか!?」






「落ち着いてほしい、提督と言う立場なのでしょう?」






「...どんな手段を使ったのか説明を省くが、今のあの人は、人の願望から生まれた存在だ。そして、異界の住人でもある。」






「異界?」






「ミットチルダも異界と言えば異界だが、ファンタジア見たいなもの―――異界の住人は、自分の存在を一番願っている者を取り込ん
でいく。取り込まれた人の末路は−死の概念すらない世界で、姿も存在すらも歪になるだけだ」






「そんな....」






「お兄ちゃん、どうして理の剣士になったの?」






「私も聞きたいです」






「簡単だ。俺が理の剣士をやめても、噂が続き、俺が理の剣士の時に関わった人達は、理の剣士のことを忘れていなかったからだ」






「でも、それだけじゃ....」






「フェイトも見ただろう?もう一人の理の剣士「本物の愛音さん」を」






「理由は分かりました。ですけど、どうやって恭也さんは理の剣士になったんですか?本来、理の剣士は想いの強い人に力を貸すんで
しょう?」






「それは、アルフに聞いてくれ。俺からは直接話す気はない」
















『日常を侵食する異界の存在―――』

『―――鏡の中から現れる怪物』

『私の住む世界が壊れ始める』

『―――ひと時の幸せと供に、悲しみは膨れ上がる』

『―――どうすればいい?』

『次回、詩篇 〜TRANSMIGRATION OF LOVE PROVE〜 第七話 BLACK OR WHITEに「ドライブ、イグニッション」』






いよいよ恭也が理の剣士になった理由が分かるのか!?
美姫 「一体、全体何故? 何故?」
幾つもの疑問が飛び交う中、その内の一つに関する説明が今。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る