後漢王朝首都――――洛陽。

 

  その洛陽の宮廷には禁裏という場所が存在する。

 

  そこには皇帝やそれに次ぐ高位の者が厳重な警備の下で安全に生活している――――はずだった。

 

  その禁裏の廊下を地面に着こうかという程長い銀髪を靡かせながら、女性――――朱儁はおよそ常人では達することはできない速度で走る。

 

  見ると、懐には自らが主君と仰ぐ艶のある黒髪ロングの女の子――――劉協こと一葉(かずは)を左腕に抱き、右手には通常サイズより若干短い槍を持っていた。

 

  劉協――――一葉の自室から暫く走り続けていた朱儁の足が止まる。

 

  目的地に着いたのだ。

 

  しかし、目的地は以前見た時とは全く違う色をしていた。

 

「くっ…………。遅かったか……」

 

  朱儁が目指していた場所。それは、今は亡き霊帝――劉協の父親――の母――――董太后の屋敷だった。

 

  だが、その屋敷は今、真っ赤な炎に包まれていた。

 

  朱儁の銀髪がその炎を反射して真っ赤に見える。そして、朱儁の腕の中に居る艶のある黒髪の女の子――――一葉は茫然とその光景を目に映すしかなかった。

 

「おばあ……様……」

 

  茫然としたまま、一葉は祖母を呼ぶ。

 

  五歳の時に暗殺を目の当たりにした。きらびやかな世界にありながら、一葉は世界の闇を幼い頃から知らされた。

 

  だが、闇の中にありながら、一葉は小さいながらも確かな強さと優しさを放つ光を見付けた。

 

  それが、真っ赤な炎に包まれて、灰へと姿を変えようとしていた。

 

「………」

 

  まるで、抜け殻の様に、光を映し出さない瞳をしている自らの主君に朱儁はかけるべき言葉が見付からなかった。

 

  しかし、ゆっくりなどしていられない。

 

  我を失っている劉協――――一葉を一先ず廊下に置き、振り返る。

 

  そこには小太刀を持つ刺客と思わしき者が確認できるだけでも十人以上居た。

 

「産まれた直後に母親を奪われた一葉様にとって……董太后様は母親と同じ――――いや、それ以上の存在だった…!」

 

  朱儁は言いながら腰に携えていたもう一本の短槍を左手に持つ。

 

  浮かべる表情は鬼の形相という言葉がぴったり当てはまる。

 

「貴様等は、一葉様からどれだけ幸せを奪えば気が済むのだ!!」

 

  一歩踏み出す。

 

  それだけで刺客たちは三歩も後退する。

 

  それ程の武を、威圧を朱儁が放つ。

 

「この上は………まっとうに死ねると思うな!!!」

 

  いつも飄々とした雰囲気と、大人の女性の色香を漂わせる朱儁は、そこには居なかった。

 

  戦場において、敵に無慈悲な死を与える白銀の夜叉が、両手に持った短槍と共に舞う。

 

  刺客たちには、例外なく死が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二十八話:王者の軍師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  劉弁即位。少帝と成る。

 

  劉協――――一葉は朱儁の働きにより何とか保護できたものの、その一葉を寵愛し、朝廷に未だ根強い影響力を持っていた董太后が暗殺されると、それはスグに決まった。

 

  その事実に宦官のトップ集団――――十常侍は焦燥感を抱きつつも、どうしようもない状況に絶望感だけを漂わせていた。

 

「たかが豚殺しの兄妹に、このまま朝廷で幅を効かせてなるものか…!」

 

  大将軍何進とその妹何太后――劉弁が少帝となったため、今では何太后になった――の元の職業――肉屋――を卑下する台詞を吐きながら、去勢したために全く髭が生えなくなった男がかん高い声で決意を口にする。

 

  しかし、具体策は全く思い浮かばなかった。

 

  自分たちの兵を動かすことも考えた。

 

  だが、所詮は後宮の世話係。用兵に関しては何度か戦場に出た何進の方が上であるだろうし、何より蹇碵(けんせき)の死後、何進に付いた西園八校尉や各地から召集している地方群雄の存在が重くのし掛かり、その考えは却下された。

 

  そもそも彼らは野心だけで能力を水増ししてきた輩。戦のない比較的平和な時勢ならばまだしも、今は乱世にほぼ両足をつこっんでいる様な時勢だ。

 

  こんな時に、今まで巡らせていた生半可な謀略ではかえって自らの首を絞めることになりかねない。

 

  そう思うと、常に完璧な警備を着けている何進、何太后、少帝をどうにかできる謀略も当然の様に思い浮かばない。

 

「失礼します……」

 

 十常侍が会合を開く部屋は昼間なのに、何故か薄暗さを感じさせる部屋になっていた。

 

  高い声が響く。

 

  去勢したために、髭は薄くなり、声は高くなったが、これは明らかに女性の声だ。

 

  十常侍全員が声のする方へと振り向くと、そこにはこの昼間なのに薄暗い部屋にぴったりな灰色の髪を左右で結んでいる小柄な女性――――袁紹の擁する軍師の一人、沮授が僅かな光を眼鏡で反射させている状態でそこに居た。

 

 一様の終結を見せたかに思われた宮廷争乱は、新たな局面へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  翌日の夜。場所は同じく洛陽。

 

「行かない方が賢明よ」

 

  小柄ながらその身長をモノともしない覇気を放つ金髪の女性――――曹操が相変わらずの高圧的な口調で意見を述べる。

 

  意見する相手とは大将軍という自分より高位にある者――――何進である。

 

「しかしな曹操、妹とはいえあやつも今や太后だ…。話があると呼び出されたならば、行かねばならぬであろう…」

 

  そんなおよそ部下とは思えない程高圧的な曹操にその態度を咎めるでもなく、逆にまるで上司に対するかの様な低い物腰で曹操に説明をする何進。

 

  何進は今日、はれて太后となった妹に大事な話があると呼び出された。

 

  詳しい内容は曹操たちには話していないが、何進を相国(しょうこく)――宰相の様なモノ。実質、国の執政権を全て握る者――に任命したいから、それについての詳しい調整のために、直に会って話したいと言うのが何進に伝えられた理由だった。

 

  そして、会話の内容が内容故に、なるべく内密に、できれば誰にも知られることなくこちらに来て欲しいという要望があった。

 

  しかし、自分たちの腹心くらいには、妹の下に行ってくる程度に話しておく必要がある。そう判断して、腹心たちにその旨を伝えに来たのだ。

 

  だが、その腹心の中で一番の切れ者――――曹操が反対してきた。

 

  これには流石に、何進も思い止まるかに思われたが、どうしても相国という地位が欲しい何進はそれらしい理由を付けて曹操を説得する。

 

「どうしても行くというなら、充分な護衛を付けなさい」

 

  正直な話、曹操にとって男な上に無能な何進などどうなろうともよかった。しかし、一様臣下という立場にあるために、取り敢えず止めたといった程度だったために、簡単に折れる。

 

  それでも、最低限の配慮をせねば、後に遺恨を残しかねない。

 

  為に、曹操は多少投げやりではあるが、何進の身の安全のために、護衛を付けるべきと進言する。

 

 それに、この無能な男が命からがらでも何でもいいから、生きて帰って来て、自分の提案を断ったことを後悔させてやらないと気が済まなかった。

 

「むう………」

 

  曹操の提案に、何進は顎に手を当てながら思案する。

 

  なるべく内密に、と呼び出しの書簡には書いてあったが、最早自分の腹心たちには話してしまった訳だし、護衛は話をしている間に少し距離をおいた所に待機させておけば良いだけなので、保険の意味も兼ねて護衛を付けようかと考える。

 

  曹操の提案に二つ返事を返そうと思っていた何進。そんなタイミングに灰色の髪を左右で二つに結んでいる小柄な女性――――沮授が口を開く。

 

「私も同意見です。護衛は付けるべきかと……」

 

  曹操とは違い、恭しく礼をしながら沮授は何進に意見を述べる。

 

  その瞬間、何進の顔に嫌悪感が溢れる。

 

「いや、やはり妹とは太后だ。兵を連れて行くなどという行為は失礼に当たる」

 

  何進は侮蔑の視線を沮授に向けながら答えた。

 

  その行動から、明らかに沮授を嫌っているために護衛を拒否したのだと、沮授本人には容易に判った。

 

  曹操はそんなこととは解らず、この無能な男につくづく愛想が尽きたという表情を浮かべつつ「……そう」と呟き、何進から視線を反らす。

 

  何進は間も無く何太后の屋敷へと馬車に乗り出発した。

 

「………」

 

  沮授はそれを確認すると、いつもとは違う笑みを口元に浮かべる。

 

 全て沮授の思惑通り。

 

 沮授を異常とも言える程に嫌悪する何進ならば、沮授が提案すれば護衛を断るのが容易に想像できた。

 

 これで何進は無防備。

 

 沮授は口元に浮かべた笑みを消し去り、いつも通りの感情をあまり読み取らせない表情になる。

 

 そして、沮授は袁紹軍が駐屯する場へと身を翻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「軍備を整えとくんですか?」

 

  揃った前髪の黒髪の少女――――袁家の二枚看板のひとり顔良が、言われたことをおうむ返しする。

 

「ああ、早くだ」

 

  その言葉に、栗毛色の髪を肩胛骨辺りまで伸ばした一刀より明らかに歳上そうな女性――――田豊(でんぽう)が頷く。

 

  彼女はこの袁紹軍にあって、初期から軍師を勤めていた。その手腕は新入りではあるがその容姿と能力を袁紹に高く評価されている沮授と同等かそれ以上の能力を誇る程に優秀であり、この軍中では一二を争う程の信頼を袁紹から受けていた。

 

  為に、顔良は今頃大イビキをかいて寝ているであろう袁家の二枚看板と称されるもう一人の女性――――文醜を起こしに行こうと待機している兵の所ではなく、文醜の部屋に向かおうとする。

 

  しかし、田豊はそんな顔良を「待て」と言いながら、肩を掴み止める。

 

 その言葉と行動に顔良は素直に止まり、振り向き、用件を訊ねた。

 

「まだ……何か…?」

 

「ああ。文醜や休息中の兵はいい。今すぐに動ける兵だけでいい。とにかく早くだ…!」

 

  顔良の質問に、その言葉以上に焦りを感じさせる口調で田豊は顔良に答える。

 

  そのただならぬ田豊の様子に顔良も未だ事態は把握てきていないものの、事の重大さを一流の将として感じたのか、表情をより一層険しいモノに変えて「はい」と、力強く頷く。

 

「そこまで急ぐ必要はありませんよ……」

 

  そんな焦燥感を嫌でも感じさせる雰囲気の中、全くの真反対の意見を主張する声が響く。

 

  その声のする方へと顔良と田豊は顔向けると、田豊と同じく袁紹軍の軍師を勤める、眼鏡をかけ、灰色の髪を左右で結んでいる小柄な女性――――沮授がいた。

 

  田豊は自分と同等かそれ以上の能力を持っているはずの沮授が、この状況を理解していないはずがないのに、どうしてそんな悠長なことを言っているのかと、若干の苛立ちを抱きながらもそれを表面には出さず、沮授の言葉の真意を問う。

 

「お前がそう言うのはどういう理由からだ?」

 

「今から兵を出したところで、もう間に合いません……」

 

「そんなこと、やってみないと判らんだろ。時間が勿体無い。顔良、準備を――――」

 

「止めて頂きたい…」

 

  田豊は沮授の解答に納得がいかないと、軽く一蹴しながら顔良に再び指示を出そうとする。

 

  そんな田豊に、若干の怒りの感情を感じ取らせる声色で、自分の頭の位置にある田豊の肩を強く握りながらその指示を取り消すように願う。願うといったが、その声色はどう聞いても断ることを許さないといった感情が伺える。

 

  袁紹軍の中で、トップツーといっても過言ではない二人の意見が食い違っているため、顔良はどうしたものかとあたふたする。

 

「………あんたがやる行動は……悲しいくらいに袁紹様本位だ…。今回も、か…?」

 

「………はい」

 

  田豊は小さな手から精一杯と思われる力で肩を掴む沮授の手を剥がし、その目を真っ直ぐに見つめながら、彼女の過去の行動を振り返り、ほぼ確定事項と思わしき質問を投げ掛ける。

 

 少しの間、田豊の真っ直ぐな目を見ながら、沈黙を維持したが、ボソリと予想通りの答えを沮授は口にした。

 

 

「詳しく聞かせろ……」

 

「………」

 

  田豊の命令に近い言葉に、沮授は沈黙する。

 

「私が、袁紹様のためになることを拒むと思っているのか!? 私は! 私も、袁紹様の軍師だ!!」

 

  沮授のその態度に、田豊は憤りを表情に露にして、声を上げる。

 

「………」

 

  その田豊の言葉を真っ正面から受け止めても、以前として沮授は沈黙を保ち、表情は変わらない。

 

  表情からは解らないが、沮授には田豊の言葉が頭の中に響く。

 

  『袁紹様の軍師』

 

  “袁紹軍”のではなく、“袁紹”のである。

 

  そう。それは自分と同じ。

 

  ならば――――

 

「……顔良殿」

 

「え? あ、はい…!」

 

  今まで田豊と会話をしていた沮授がいきなり自分に話しかけてきたため、一瞬ぽかんとした表情を浮かべた。

 

  しかし、顔良もスグに沮授の呼び掛けに応じる。

 

 そんな顔良に沮授は顔をそちらに向けずに言葉を続ける。

 

「悪いが、外して頂けますか…?」

 

「え……?」

 

  沮授の予想外の願い出に今度はスグには答えを返せない。

 

「でも……」

 

 事態は一刻を争う。

 

 田豊がそういう態度を取っていたので、顔良は沮授の言葉に従っていいものかと、顔良は田豊の方を見る。

 

「すまんが、沮授の言う通りにしてくれ」

 

「………了解です」

 

  しかし、当の田豊にまで言われたら、顔良は従うしかない。

 

  顔良はその場から、去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

  何太后邸。何進は妹に呼び出され、既にこの場に着いていた。

 

  馬車を降り、門の前に立つ。

 

  そこで何進は違和感を感じる。

 

  静か過ぎる…。

 

  虫たちの鳴き声は聞こえるものの、それ以外の音が全くしないのだ。

 

  しかし、違和感を感じるだけで、何進は終わる。

 

  彼は無能だ。

 

  だが、野心だけはある。そして、その野心が今、現実味を帯びている。

 

  為に、元来の臆病故の慎重さを忘れてしまっていた。

 

  何進の――――いや、何兄妹の野望は成就することなく、何太后の邸宅の門をくぐったところで終わる。

 

「姦賊、何進!! 覚悟ーーー!!!」

 

「な―――――!?」

 

  静か過ぎる邸宅はその言葉と共に、喧騒の渦に変わった。

 

  静かだった原因は、門に見張りが誰一人としていなかったからだ。太后ともあろう者の邸宅に、見張りがいないなど有り得ない。

 

  既に、この邸宅は何進を襲った刺客たちの手によって制圧され、何太后は最早、亡き者となっていた。

 

  そして、何進も呆気なく、その人生に終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何進を…殺す、か……」

 

  田豊は空に顔を向けながら呟く。

 

  権力を手っ取り早く手にする方法は、自分より上の地位にある者を排除すること。

 

  しかし、今の朝廷において、何進の次席は袁紹ではなく宦官。

 

  故に、何進を殺したところで、袁紹の立ち位置は事実上変わらない。

 

  しかし、沮授は田豊と同等レベルの能力を持つ者。それに気付かないはずがない。

 

「で? それから?」

 

  故に、当然の様に続きを訊ねる。

 

「何進の敵討ちという名目で、宦官を誅滅します」

 

「っ……――――!!」

 

  目を見開き、声にならない声で驚きを表現する田豊。

 

  当然だろう。

 

  沮授は何進暗殺の計画を宦官に入れ知恵した張本人だ。

 

  しかも、暗殺をより確実に遂行するために、何兄妹の近辺の者を買収、及び宦官に主導が変わった後の地位の安堵を約束した上に、自軍の兵を出したりもした。

 

  それらは宦官が主導を握った後に袁紹の地位を確固たるモノにするためである。

 

  沮授の言った行為はそれを一気に水泡へと変えてしまうモノに他ならない。

 

「関わった連中は……?」

 

「いわずもがな、です。後に遺恨を残すのは、愚の骨頂ですから…」

 

  何兄妹の近辺で買収した者は後々まで、このことを弱味として揺すってくるかもしれない。

 

  派遣した自軍の兵士もしかりだ。

 

  死人に口なし。

 

  それが、一番手軽な方法だ。

 

「………どうしてそこまでする?」

 

  目の前の眼鏡をしている小さな少女は、人を騙し、罠に嵌め、命を奪うことをまるで当然の様に行う。

 

  自分や他の者も、戦やこういった権力争いの際には平気で同じ様なことをする。

 

  しかし、それは自分にある程度の見返りがあるからだ。

 

  自分は他人よりその見返りがちょっと少ないが、それを求めているという事実は決して否めない。

 

  だが、彼女――――沮授は違う。

 

  今回の謀略は彼女の独断で、袁紹には全く伝わっていないし、伝えるつもりはない。

 

  袁紹は、降って湧いた幸運に乗っかり、優秀な部下の迅速な対処により何進の仇を討ち、何進と宦官が有していた権力と兵力を得て、事実上天下を手にする。

 

  これでは、沮授には何ら特はない。

 

  確かに、主が力を持てば自分にも何らかの恩恵が期待できるが、その程度では自分の手を汚しに汚した沮授には、見合わない程度の小さな恩恵にしかありつけない。

 

  だが、その小さな恩恵すらも辞退してしまいそうなのが、この小さな少女だ。

 

  彼女がそこまでする理由は田豊には解らなかった。

 

「貴女なら解るはずです……」

 

「……?」

 

  沮授が言う意味が、田豊には解らず、首を傾げる。

 

  袁紹――――主は正直な話、無能だ。

 

  その上、性格に難があり、良いモノと言えば、容姿と出身が名家であるということくらいしか田豊には思い浮かばない。

 

  臣下として無礼極まりないのだ、心の底で思っているだけで口にはしたことないので、ギリギリセーフだ。

 

  ともかく、田豊に言わせてみれば、袁紹の悪いところの方が言うのは容易いのだ。

 

「貴女は“姫様”の軍師なのでしょう?」

 

「ん? まあ、そうだな…」

 

  解らないという表情を浮かべる田豊に沮授は一言話しかける。

 

  その言葉に、まあそうだな、と田豊は頷く。

 

  それは違いない。

 

  自分は袁紹の軍師だ。

 

「それだけです……」

 

「……………マジ?」

 

  納得できない。

 

  あの高慢で、我が儘で、無能で、そのクセ自分を世界で一番有能だと本気で勘違いしている残念な人に尽くす理由がそれだけ?

 

  田豊は無礼に無礼に無礼に無礼を重ねる様なことを脳内で神速再生させながら、沮授に訊き返す。

 

 いや、訊き返すしかできなかった。

 

  それくらいに理解し難い理由だったから。

 

  勿論、沮授にも軍師に至るまでの理由は他にあるのだが、それを他人に言うのは憚(はばか)られたし、何より理解してもらえるとは思っていないために、口にはしない。

 

  ともかく、田豊にとって沮授の解答は理解に苦しむモノであった。

 

  しかし、沮授は田豊の口から出た質問にも頷きで肯定する。

 

「私は、あの方に王者になって頂きたいのです…」

 

  まあ、それは解る。

 

  自分が仕える君主だ。どうせならお偉いさんになって欲しい。

 

  そう思い、田豊は頷く。

 

「だが、あの方――――姫様には天下を盗るのに必要なモノが徹底的に足りません」

 

「あ、解ってたんだ。だよね〜、幾らあんたでも、あの無能さは目に余る――――」

 

「姫様を侮辱することは、例え貴女でも許しません……」

 

  沮授の言葉に頷き、遂に口に出してしまった無礼。

 

  しかし、想いを同じくしていたと思っていた沮授は、田豊の言葉に怒りのオーラを纏う。

 

  どうやら、沮授の言う“足りないモノ”とは別のモノらしい。

 

  田豊は乾いた笑いをしながら、「ごめん、ごめん」と謝罪し、その怒りを収めようとする。

 

  沮授も、今は話の方が大事らしく、怒りの表情を浮かべながらも仕方無いといった雰囲気で話を再開する。

 

「姫様には、“闇”がありません」

 

「……“闇”?」

 

  おうむ返しをする田豊に沮授ははい、と頷く。

 

「あの方は眩い。しかし、あの方にはその眩い光から発生するはずの“闇”がないのです…」

 

  田豊は言われて思い返す。

 

  確かに嫌な一面が目立つ自分の君主だが、裏表といった概念が彼女には全くなかった。

 

  それを鑑みるに、確かに沮授の言う“闇”は袁紹には全く存在しない。

 

 そこから更に考えると、話す前に顔良に席を外させたのは、袁紹の担う光に、彼女らの正々堂々の武が必要だったからだ。

 

 故に、顔良に、この話を聞いて欲しくなかったのだ。

 

「だから、私があの方の“闇”になるのです。そうして、あの方の天下を光だけにしたいのです」

 

「そのためになら……自分の手を汚すことも、厭わない?」

 

「………はい」

 

  頷く小さな少女は、“闇”など似合わない。

 

  寧ろ、光の下で平和を謳歌し、平々凡々に暮らしていくのが似合う普通の少女だ。

 

  だが、本人はそんな人生は望んでいない。

 

  沮授が望むのは、人々の憎しみ、恨み、妬み、嫉み――――負の感情が茨の様に肌を突き刺す苛酷なモノ。

 

  それが、彼女なりの袁紹という一人の人間のために一身を捧げるという行為。

 

「なんつーか……バカだな…」

 

「………」

 

  率直な感想を口にする。

 

  人生を誰かに捧げるのは悪くない。それが本人が望んだことならだ。

 

  沮授も恐らくは心の底からそれを望んでいる。

 

  それでもそう思わずにはいられなかった。

 

  沮授はその言葉にも表情を一切変えない。

 

  他人にどんな評価を下されたとしても、これは自分が最良と決めた唯一の生き方。

 

  ただ、田豊ならば解るかも、と話したにも拘らず、結局理解できなかったという事実に若干の失望を抱くだけだ。

 

「軍の準備を顔良たちに頼まなくちゃなあ……」

 

「顔良……“たち”…?」

 

  現在動ける者は顔良の指揮下にある兵ばかりだ。では、田豊の言う顔良“たち”とは誰だろう。

 

  口にはしないが、洩らした言葉は、そう思っていることを雄弁に語っていた。

 

「文醜を起こさないといけないだろ?」

 

  文醜は寝ている。

 

  それは間違いない事実。そして、その文醜を起こすという行為は間違いなくタイムロスに繋がる。

 

  つまり、田豊は――――

 

「やるからには完璧にしていた方が安心、だろ?」

 

  明るい笑みを浮かべながら、田豊は沮授にそう話しかける。

 

  沮授はそんな田豊の態度に珍しくポーカーフェイスを崩し、驚きといった表情を浮かべる。

 

「反対、なのでは……?」

 

  田豊の口振りではどう考えても、沮授の提案に反対の意を示していると考えられた。

 

  少なくとも、沮授にはそう感じ取れていた。

 

  沮授は浮かべた驚きといった表情を一瞬で消し去り、田豊に質問をする。

 

「だーれが、んなこと言った?」

 

「バカだと、否定したではないのですか?」

 

「バカとは言ったけど、否定はしてないじゃん。それにさ――――」

 

  田豊は明るい笑みで、沮授に答える。

 

「私も、バカだからさ」

 

「………」

 

  不覚にも、その笑みに見とれてしまう。

 

  それ程までに、綺麗で明るい笑みだった。

 

「いいのですか? 私の計画を知った貴女は、少ないながら私と同じ“闇”を負うことになるのですよ?」

 

  だが、田豊のその明るい笑みには、沮授の背負おうとする“闇”はあまりに不似合いだった。

 

  そう思うあまりに、沮授は協力を申し出る田豊の顔を直視せずに訊ねる。

 

「やっぱ、あんたバカだね」

 

  そんな沮授の不安を、田豊はバカの一言でさらりと受け流す。

 

  その相変わらずのあか抜けた田豊の声に、沮授は再び顔を田豊に向ける。

 

「少しじゃなくって、半分くらい私にドカー、と任せなさい!」

 

  明るい笑み。

 

  そこには、やはり“闇”は似合わない。

 

「でも――――」

 

「このチッコイ体に、天下全ての闇は、流石にキツいっしょ?」

 

  だから、やはり彼女には背負って欲しくない。

 

  初めて決意を語った相手だからこそ、背負って欲しくない。

 

  そう思い、その想いを口にしようとする沮授の頭に、田豊はポンと手を乗せながら、沮授の言葉を遮る。

 

  その表情は、どこまでも明るい笑みだ。

 

「それと、私のことは空真(くーしぇん)と呼びな」

 

「……え? よいのですか? 私などの様な卑賤(ひせん)の出の者が、貴女の様な高貴な方の真名を呼んでも…?」

 

  沮授の出身は自分自身でも定かではない。家族の顔すら判らない程だ。

 

  それでも袁紹に、その容姿――能力も当然評価に加味されているが、割合としては少ない――を美しいと評価され、軍師にまでなった沮授だが、それでも新参者に加え、身分の低さも相まって、侮蔑の視線を向けてこられたことも度々あった。

 

  そんな自分に積極的に話しかけてくれたのは――袁紹以外では――自分と歳の近い顔良、文醜の二人くらいだった。

 

  そんなことから、ついつい田豊に訊かなくてもいいような質問をしてしまった。

 

「ははは、いいに決まってるだろ? ああ…でも、一つだけ条件があるな」

 

「? 何でしょうか?」

 

  沮授の質問を軽く笑い飛ばす田豊は、真名を呼ぶにあたって、一つだけ要求をする。

 

  その言葉に沮授はちょこん、という擬音が似合う様な感じに小首を傾げる。

 

  僅かに見せる歳相応な様子に、田豊は「可愛いなあ…」とか思うものの、沮授の性格から察するに、言葉にすれば不快に覚えるかもしれないので口にはしなかった。

 

「あんたの真名を、教えなよ」

 

  口にはしなかったが、その愛らしさ故に頭を撫でてしまう。

 

  そんな田豊のいきなりの行動に、沮授は驚きの表情を浮かべるしかなかったが、直ぐに冷静さを取り戻し、驚きといった表情を少々ムッとした様なモノに変えて田豊の手を、首を振って払い退ける。

 

「…………香華(こうふぁ)、です…」

 

  沮授は少々ムッとした様な表情のまま、やや間置いて、おずおずといった様子で真名を口にする。

 

  払い退けられた手を名残惜しそうに中に漂わせていた田豊だが、真名を聞いて表情を先程も見せていた明るい笑みを浮かべる。

 

「……香華(こうふぁ)ね。香る華、か……。いい真名だな」

 

「………………ありがとうございます」

 

  田豊は抱いた感想を率直に口にする。

 

  そんな歯に衣着せぬ物言いの田豊に、今まで浮かべていたムッとした様な表情を緩めて、頬を若干赤らめ、表情を照れといったモノに変えて、素直に言葉を述べる。

 

  そんな様子が田豊には、この上なく愛らしく映り――――

 

「可愛いな〜」

 

  ――――我慢しきれなくなった田豊は、思ったことを口に出しながら小柄な身体をふくよかな胸にキツく抱き締める。

 

「――――う、うわ……ぷ……」

 

  小柄な沮授は田豊の胸の中にすっぽりと収まるが、沮授自身はその胸から何とか逃げようともがく。

 

  しかし、腕はがっちりとロックされ、元々腕力のなかった沮授がどんなにもがいたところで、全く拘束が緩む気配はなく、寧ろどんどんキツくなっていく。

 

  そうしている内に、沮授の抵抗は段々弱っていく。

 

  いや、なくなっていく。

 

  なくなったのは、沮授の抵抗だけではなく、意識もであった。

 

  沮授はこの後、田豊を捲し立てるのだが、そんな怒り心頭の様子の沮授すら「可愛い〜!」と、言いながら、再び絞め落としをかけかけるが、今度は寸でのところで田豊が解放した。

 

  以後、沮授と田豊は互いに真名で呼び合うが、沮授は田豊と物理的に距離を取ろうするという、端から見れば真名を許しているのに、避けているとしか見えない行為をする不可思議な二人といった評価をされることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

  何進暗殺後の指示はあらかじめ沮授によって下されていた。

 

 その指示とは、宦官は買収された何兄妹の元側近、更には何進暗殺を実行した三十人にも及ぶ袁紹軍の兵士たちと共に袁紹の到着を待てというモノであった。

 

  宦官連中は兵士と一緒の場に居ることを不快に思ったが、沮授の指示に逆らうのは得策ではないと考え、渋々ながらもその指示に従っていた。

 

  そう。

 

  今、この場には、何進暗殺を知る全ての者が居た。

 

  ここに、宦官殺戮の命が下された。

 

  勿論、攻撃を受けたのは宦官だけではなく、何兄妹の元側近、更には味方の袁紹軍に在籍する者もだ。しかし、彼らもただのほほんと殺されるのを待つ訳もなく、逃げ出そうとし、実際逃げ出せた者も多数存在した。

 

  結果、今回の事件には何ら関係のない者までもが殺された。

 

  その数、およそ二千。

 

  中には、宦官ではない者までもが“誤って”多数殺された、と言われた。

 

  こうして、沮授の目的は果たされた。

 

  これで、何進暗殺の真実を知る者は自分と田豊だけだ。

 

  だが、ここで誤算が起きる。それも、沮授程の謀略家を以ても予想だにしなかったモノで、しかも重大なモノだった。

 

  何とか逃げ仰せた数名の宦官が皇帝――――少帝とその妹、劉協を連れて首都洛陽を脱した。

 

  洛陽郊外。

 

  逃げ仰せた宦官と少帝、劉協は武装した部隊に出会う。

 

  その部隊は“董”の文字が書かれた旗を掲げていた。

 

  果たしてその部隊は、何進が洛陽に呼び寄せていたが、遅れて到着した最後の軍――――董卓軍であった。

 

「おやおや、これは暁幸(ぎょうこう)ですね…」

 

  眼鏡の位置を人差し指で修正しつつ、黒髪の青年――――于吉は口元に笑みを浮かべながら前に出て、呟く。

 

  宦官や少帝は、辺境の鍛えられた軍隊に威圧され、ただただ怯えるばかりだ。

 

「き、貴様! このお方をどなたと心得る!?」

 

  恐怖に震える心と体を何とか抑え、不躾にも皇帝に対して礼を取らない于吉に向けて怒鳴り声を上げる。

 

  そんな宦官を、于吉は初めて視界に捉え、その言葉に平然と応える。

 

「……ええ。当然、知っていますよ…」

 

「ならば平伏せよ! 頭が高いぞ!」

 

  相変わらず態度を改めない于吉に、権威の通じる相手と未だに気付かない宦官は、恐怖心を抱えつつも自分が優位であると言い聞かせて于吉を怒鳴りつける。

 

  そんな呆れを通り越して、哀れみすら覚える宦官に、于吉はやれやれと肩を竦め、首を左右に振る。

 

「な、何じゃ、貴様! その態度は!?」

 

「………忠告します」

 

  そんなバカにしているとしか思えない于吉の態度を更に怒鳴りつける宦官。

 

 そんな宦官に態度を改めない――というか、改める必要がない――于吉は宦官に話しかける。

 

 それと同時に、ドスンという鈍い音が響く。

 

  気付くと、宦官が宙を飛んでいた。

 

「右に気を付けた方が良いですよ――――って、遅かったですね……」

 

  宙を飛ぶ宦官を、視界の端に捉えながら、自身の忠告が無意味だったと気付く。

 

  宦官に強烈な飛び蹴りをかまし、宙に飛ばした男――――左慈が方膝を着いた状態からゆっくりと立ち上がり、少帝と劉協に向き直り、殺気の籠った視線を投げ掛ける。

 

  少帝はひっ、と怯えつつも、自分より一回り幼い妹を左慈の殺気の籠った視線から守る。

 

「きょ、協に手を出すな!!」

 

「あ、兄上……?」

 

  劉協が初めて言葉を発する。

 

  母の様な存在を失った劉協は、ずっと茫然自失の状態だった。

 

  しかし、兄の突然の行動に劉協は漸く意識を外に向けた。

 

「……協。朕は、お前に不幸しか与えることができなかった…。だけど、だけど! 朕は、お前の兄だ! 妹の命くらい守ってみせる!!」

 

「………兄上」

 

  母、伯父を喪い、辛いのは少帝も同じはずだ。その上、少帝は温室育ちなため、殺意にも全く慣れていない。

 

  しかし、少帝は妹を守るために、恐怖で足を振るわせながら左慈の前に立ちはだかる。

 

  少帝の兄として立派とも言える行動が、左慈の勘に触ったのか、イラつきを覚え、殺気を強める。

 

「抑えて下さい、左慈……」

 

「………」

 

  于吉はそんな殺意の化身の様な状態の左慈の肩をぽん、と叩き宥める。

 

  左慈は暫く少帝を睨み付けるも、舌打ちをしながらその場を去る。

 

「ご安心下さい。あなた方の、身の安全は保証します……」

 

  左慈が後方へと下がり、どちらかと言えば好戦的には見えない于吉の言葉に、少帝は胸を撫で降ろす。

 

  そんな少帝に、于吉は口元に笑いを浮かべる。

 

「彼をおびき出す大事な餌に、何かあっては困りますからね…」

 

  その笑み、言葉に少帝は気付く。

 

  全く安心などできない。

 

  彼らは新たな災厄をもたらす者。それは少帝にも、簡単に判った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな回りくどいことをせねばならんのか?」

 

 少帝を護送の道中、不満たらたらといった表情で左慈は于吉に話しかける。

 

 于吉は左慈の言葉にふっ、と人を小馬鹿にしたかの様な笑みを浮かべながら肩を竦める。

 

「……えぇ。貴方が北郷一刀にリベンジしたいなら、ですがね……」

 

「殺すぞ…………!?」

 

 その、まるで人を小馬鹿にしたかの様な表情と言葉に、短気な左慈は自分の放てる最上級の殺気を于吉にぶつける。

 

 そんな常人ならば卒倒しかねない殺気の中、于吉は先程同様の人を小馬鹿にしたかの様な笑みを浮かべながら言う。

 

「大丈夫ですよ…。今回の任務は、貴方なら何の問題もなくこなせますよ」

 

「誰もできないなどと言ってないだろうが!?」

 

「ふふ、貴方ならばそう言うと思っていました…」

 

 そう言うと、于吉は左慈から顔を背け、目前に迫った洛陽の城壁を黙視する。

 

 そうしていると、流石にこの大所帯に気付かないはずもなく、城壁付近に居た衛兵がこちらの方へと近付いてくる。

 

「では、しっかり頼みますよ、左慈――――ではなく、董卓殿……」

 

「――――ちっ………!」

 

 本当に面白そうに笑いながら言う于吉に、左慈は今日だけで何度目になるか判らない舌打ちをする。

 

 そうこうしている内に、衛兵達が間近にまで迫り、どこの部隊かと問いかけてくる。

 

「俺は、涼州から召集された董卓だ……」

 

 左慈は衛兵の質問にそう答えた。

 

 遅刻をして来た董卓は幸運にも少帝と劉協を保護し、その功績から権力を大幅に強大なモノとした。

 

  それは反董卓連合が結成される、五ヶ月前の出来事であった…。

 

 

 

 


あとがき

 

一刀、出番無し。

 

ども、冬木の猫好きです。

 

今回は前回予告した通り宮廷争乱を元にしたお話でしたから、当然の様に一刀は出番なしでした。

 

この宦官誅殺は史実にも存在します。そして、その時の死者は本編にも出ていた二千という数字でした。

 

多すぎますよね……。

 

中には、宦官ではない者も多数含まれていたそうです。

 

それらの不審な点から今回の本編の話と似た様な仮説を読んだことがあり、私もそれは十分にあり得たと判断したので、ほとんどその仮説通りの話を書きました。

 

しかし、何進――何太后はまだ当分生きていた――が暗殺された時、史実でも何進の配下に確かに袁紹がいましたが、袁紹の下に沮授はいません。

 

つまり、史実ではこれらのことを“袁紹が”行ったと考えられます。

 

このことから、袁紹は実のところ、優秀であったのでは? と私や、この仮説を立てた方も考えています。

 

しかし、恋姫の袁紹――――麗羽がバカであるのは最早変えがたい設定ないので、沮授が画策したということにしました。

 

恋姫の袁紹軍には顔・文しか戦力が存在しないので、沮授と田豊といったその他の優秀な者が欲しかったので、それらを紹介する丁度よい機会になったので、まあよかったかな、と思っています。

 

さて、次回は主人公である一刀たち側の人々を主軸にしたお話を作りますよ。

 

ただ、戦系統の話はまた当分ない予定なので、悪しからず。

 

では、今回はこの辺で。また、次回更新の時にお会いしましょう。




袁紹に絶対の忠誠を見せる沮授。
美姫 「とても素晴らしい臣下よね」
だな。袁紹の預かり知らぬ所で謀略は練られ。
美姫 「こうして時代はゆっくりと動き出す」
左慈たちも動き出したし、時代の大きな節目が少しずつ。
美姫 「次回はどんなお話になるのかしら」
次回も待っています。



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