不破特断ファイル〜信じ続ける勇気を下さい〜 2話#1-Dears Knight-




























 特断ブレッツエリスターとは、
 平和を願い、平穏を守り続ける『不破』恭也の願いを叶えようとしたエリスが、過剰とも言うべき行為から設立した........
 『法務省特別断罪隊』を示すものである。





















「節黎三等空士」


 ふう、俺の階級って最下位だったか。


「八神部隊長、何か?」


 他人が見たら目が死んでいる状態になっているのか、部隊長の顔が見えない。顔以外から二十歳未満の女であることはわかる。


「お仕事や」


「……別に階級は気にしてなかったんですが、いつの間に最下級まで落ちてるんです?」


「クロノ提督が無理やり復帰した当初から階級を現役時の3ランク下まで上げたからかもな」


「現場復帰時の基準なんて知りませんけどね」


「仕事の内容は?」


「護衛任務を装った、現場調査や」


「護衛任務はしなくていいって事ですか?」


「いや、これが難しゅーてな、個人でお偉いさんから六課に依頼が来とるんで疎かにできん。本来は、その現場、学校なんやけど、
ロストロギアを不正に扱っとるかもしれんのよ」


「予想されるロストロギアは?」


「これなんやけど」


「魔導書型ディバイス『Snow Rain』か、これがどうしてこんなところにあるんだか」


「知ってるんかい?」


「あ、あぁ、知っているのは正式名称だけだが、『Dark Rain』という」


「まだ、万全やないから助っ人を頼んでもええでぇ。私的にはエリオやけど」


「考えておきます」


部隊長室を出た後、部屋に戻る。










――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 男二人と女一人の仲のいい子供たちがいた 

 男の一人 剣術の好きな少年は サイ もう一人は 自然の好きな少年 カイ


 少女は 花の好きなメイ


 やがて 大人になり サイとメイが結ばれる だが サイが戦争で帰らぬ人となった


 その知らせを聞いた女は神に祈った 男を助けてくださいと


 神が託したのは願いを叶える魔導書「Snow Rain」だったとされている


 その女のリンカーコアを犠牲にし 男を生き返らせた


 だが 生き返った男が 見たのは女の苦しむ姿だった


 本来あるはずのリンカーコアを丸ごと抜き取ったのだ 影響がないとはいえなかった


 解決方法がない中、男を見た女は安心して息を引き取る


 そんな姿を見た男は、神に祈った


 生きて人目会いたいと、生き返ってほしいと


 男は、命と引き換えに彼女を生き返らせ、彼女は精一杯生きたと「Snow Rain」に纏わる伝承だが……


「Dark Rain」に書かれている残忍さを取り除いたのが「Snow Rain」、そこに登場するロストロギアは「闇の書」だともいわれている



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――







 潜入前にその学校を調べてみた。その学校のホームページは、学生や教師の意見等がまるでなく、あったにはあったがありきたりで
参考にもならなかった。


 全面に「開放的な」とうたっている割には、閉鎖的すぎる。


 下見として、実際に女子高に訪れた。理由は娘を通わせる学校の見学とでも言えばいいだろう。



 校長と部屋でこの学校の特色などの話を聞き流しながら終わらせて廊下に出ると、一人気になる「見た目少女」な子を見つけた。


「どうしましたか?」


 一見、少女に見えるのだが、歩き方が戦闘者のそれに近い。


 他の生徒もちらほらと本格的な実践訓練を受けた雰囲気がうかがえたが、際立ってレベルが高いのが多いのが何故か気になった。


「あの子は?」


「はい、転入生のチェイサー・ファイズさんです」


「校長、生徒に脅迫状とか最近来ましたね」


「どうしてそれを」


「私は今ではこんななりですが、昔は男の格好の方が似合う人でしたから、女装している男なら例外を除けば大抵わかります」


「そ、そうですか」


「それに、創設者が管轄外世界で有名なマクガーレン・シークレットサービスのアイツは確か、シールドチームのシングルナンバーだ
ったはず」


「ええ、依頼者は伏せますが、ここは、夜間は高濃度のAMFが発生するので、魔法を使用することはまずないですが、質量兵器はさす
がに防ぎきれませんので」


「タイミングがよかったな」


「えっ、それはどういう?」


「ここに入学させましょう」


「それはっ、では手続きの方はこちらで。娘さんに会えるのを当校は楽しみにしております」


『アリサ』


『何っよ! 突然、こっちはmeetingの真っ最中なのよ』


『聖咎魔導剣<セインシュガルツィア>まだあるか?』


『へっ、ちょっとまって、、、あるみたいよ』


『わかった。ありがとう』


 管轄外世界にいるはずのアリサが、何故、聖王教会の宝級の剣章の存在有無を確認できるのだろう。不思議だが、面倒だから聞いて
ない。


『まさか、そのことだけに念話してきたの?!』


『そうだ、まさか契約を俺から破る訳にはいかんだろうが』


 儀式剣だが……ああ、騎士やめた時に返還しなきゃよかった。


『まあ、破ったらアメリカの軍隊が一個大隊が戦闘機と戦車引き連れてやって来るわね。パパはもっと連れて来るかもしんないけど』


 めんどくさいことに、再受理式は簡単に済むのだが、今までの契約してきた存在の中でもアリサは特別で、その影響をうけるかもし
れないからだ。


『めんどくさい』


『何で? いい訓練になるでしょうが!?』


『どうせもみ消すのに書く書類が多いから残業するんだ』


『そう、それはそれとして、騎士の称号を与えるのは雫?』


 ちっ、誤魔化せなかったか。再受理完了とともに、俺の騎士階級が明確になるので、簡単に称号授与ができるのに気付かれた。


『女の子にやる称号としちゃ重すぎると思うが? 試験のある例外中の例外の称号だし』


『まさか、クロ助ジュニア?』


『まだ、4、5歳だろ?』


『エリオだ』


『なによ、もっとサプライズかと思ったのに』


『称号はな』


『あの剣って事は埋葬騎士とか?(死者の声を聞く、戦場の真理)』


『好き好んで聖王教会の殺害許可証をカリムが渡すかぁ? 俺から与えることのできるやつだぞ』


 カリムでも無理だったような気がしないでもないが。


『えっ、おとぎ話だと思ってたけど、ほんとにそんな称号あるの!?(冗談で言ったのに)』


『ある』


『う〜ん。―――まさか救愛の騎士』


『俺は男で、異性しか救愛の騎士はなれん。それに、それは、与えられる側が魔法を使えない一般人であることが条件だ
しな』


『アンタは例外よ』


『...きゅうあいのきしだよ...あいとゆうきのしようごうだよ』


『?当たったじゃない。何電波受信してんの』


『正確にはポリジブルリッター。輪廻、奈落の愛を受け継ぐ者』


『めんどくさいんだが、一様、受格試験をしなきゃいけないし、俺自身が考えなければいけないし、周囲にも認知されるような試験内
容でなければいけないから……徹夜か』


『へぇ〜、ポリジブルリッターね。って、本人はどう思ってるのよ』


『まだ伝えてないけど? 管理局員では動きが制限されまくりだし、受かって欲しいわね』


『わっ、男の時に女口調になるなー! まさか、BLなの〜』


『...何だ。そんなことか』


『えっ、そんなことって』


『エリオは私の息子だぞ』


『...まだ、引きずってるの。ダイスケのこと』


『...』


『あん『うるさい!』た』


『だからって『うるさい!』』


「では、失礼させていただきます」


 強引に念話を断ち切り、校長に挨拶をし家に帰った。








 気分が悪くなったので、たまには日本酒を飲みたいと、居酒屋に立ち寄り宮崎県産の純米酒を飲んでいた。


 ミッドでは珍しく管轄外世界の一品を食べられる店で、単品をちらほら頼み(馬刺♪、きゅうり♪もつ煮込み♪)店を出た。


「膝が痛い」


 酒の影響から立ってるのが辛くなったので座って念話でエリオと連絡を取る。リンカーコアは回復していないが、体はまだ回復して
いないとは思っていなかった彼はふらつきながら歩いていた。


彼の交遊関係も女性の割合が高い。こんなことで呼んだらお叱りを受けることは間違いないので、唯一頼んでも問題ないエリオを呼ぶ
ことにした。


「氷さん、大丈夫ですか?」


「すまん」


再開したエリオは、こんな形だが彼に会えたことを嬉しく思っていた。


エリオと彼の関係を周りから見れば、息子と父親、この父親に息子ありと言われる程、『美』な二人ではあるし二人とも魔法資質が高
いから、その印象が根強い。


だが、今は女性ということもあってか、実際女性意識が強くなり、彼には母親の印象を強く持っている。


姉と母親の中間、あるいは両方であるフェイトより母親を感じさせるのは、クイントのスバルとギンガを育てた母性本能が根強く染み
付いているからなのだろう。


『master』


「微かに魔力の反応がある」


「そうですね」


「エリオ、下ろしてくれ。緊急事態の為、魔法行使」


初めは肩を貸していたエリオだが、まだ身長差が十センチ以上あるのと、自分で歩くのが辛かった氷は、所謂お姫様抱っこで移動中でした。


さまになってるので、男どうしだと周囲は感じないだろう。


既に、何者かによって認識阻害が掛かっているので分かるものはいない。


「わかりました」


『sonic move』


「wind move」


ソニックムーヴよりも移動速度は遅いが、体に負担がかかりにくい風属性の高速移動魔法でエリオの後を追う。どんどん離されるが、
地理に詳しくないが地形には詳しい氷は、エリオよりも移動距離は短くなっている。


氷は気になっていた。魔法の風により、高層ビルが立ち並ぶここでは、どうビル風吹くかがわからない。


酒を飲んでいる為アクロバット的なことは平衡感覚のない今やるのは危険過ぎる。


だが、一目につかないためか高域を移動しているエリオを見失わない為には高い所を移動しなければならなかった。


それに、冷たい風に体に鳥肌が立った時に微かに香る、「枯草に鉄錆が混ざったような」一般には香るとは言わない慣れた血の匂いを
嗅いだことも。


「大丈夫ですか?」


『何か最期に伝えたいことは?』


いち早く、倒れている女性が魔導師である事に気づいた氷は念話に切り替える。


『せいとを、わ、たし、のせいと、たちを』


「『守ってください、私の変わりに』」


氷と女性の声が重なる。


「何っ!」


「氷さん!」


目映い光が辺りを包み込んだ。


血の海に沈んだ女性教師の記憶の断片を読んでしまった氷は、想いの強さと星詠みで強制的にソウルユニゾンを発動されてしまう。


あまりに予想外の事態に、氷は女性教師の勤務する学校にロストロギアが関係しているのではないかと考えた。


『心を突き刺す、必死の悲鳴』


『気持ちに嘘つくのはやめて』


『もしも、願いが叶うなら、どうか守れますように』


『夢を実現するための犠牲はもうやだよ』


『夢って何だったけ』


最後に浮かんだフレーズは、呪文にはできそうだったが詩にはできなさそうだった。それは――女性教師の最期の伝えた言葉。


「氷さん! 氷さん」


『フェイトさん! フェイトさん!』


『どうしたの! エリオ!』


『氷さんが、氷さんが、母さん、母さん』


『エリオ、ねえ、落ち着いて』


「どうも、節黎氷です」


「理事長のカーナ・クレシアです」


「よろしくお願いします」


「はい、こちらこそ。ですがここを見学したいとの理由は、差し出がましいですがお教えもらえますか?」


「私の甥が生きていたら、今中高生位なんですよ。見たかったなぁーって制服姿」


「そうですか、それは失礼しました」


「いいえ、もう過ぎた事なので」


「...」


「ふふっ、実は姪っ子が学校に通うことになるので、そいつの両親からどこがいいかと聞かれたんですよ。元々教育関係の職業にはあ
る程度携わったので」


「あらまあ、じゃ、教師のご経験も?」


「ありますよ。専門は理系のいくつかと保健、家庭等ですけど」


「魔法教育のご経験はないのですか?」


「管理局ではありますよ。むしろ、前者の専門教科での教員資格は管轄外世界の資格なので、こっちでは通用しないですけど」


「そうですか」


「それにしても、女性の私から見ても羨ましき美しさですわ」


『やけに電子機器の監視が校内には少ないとは感じたが、人員が視界の範囲に4人以上、隠密で5人。凄いな。』


『明らかに警戒心をむき出しにしているのもいれば、全く気配は感じない奴がいる。警備レベルがわかりずらい』


『生徒として入るしかないか』














「はっ、夢か………寝てたのに疲れた」


「〜♪」


ラジオから爽快な音楽が流れてくる。


「SEENAのこれが歌や!」


「こんにちは。今日は番組放送時間にSEENAさんが到着することが出来ないとのことで、私が担当させていただきます。」


「えっと、(台本を見る)ルシファー(仮)です」


「では、今回のゲストを紹介します。今年6月にデビューし、女性層に圧倒的人気を誇る、フリーズさんです!」


「ふ、フリーズ...」


「....」


「フリーズの節黎氷です。」


「あはは、すべっちゃいましたね」


「そうですね」


「....さて、今回話してもらうのはこれです!」


「歌の作成秘話!こうして、この歌は作られた。です」


「今、大ヒット中のラブバラード『夢の傷痕』の原点に迫っていきたいと思います。フリーズさん」


「はい」


「この歌はどの様な経緯で作られたのでしょうか?」
「僕の歌は、すべて、妻に対する自分の想いですね」
「えっ、失礼ですがおいくつですか?」


「今年で18になります」


「えっと、随分早くに結婚されてたんですね」


「まあ、内縁なんですけど12の時に息子が生まれてますし」


「わぁお、立派なパパなんですね♪」


「むしろ最低な父親でしょうね。妻を見捨てた僕は」
「そうですか....」


「僕はある公的組織の裏に従事してたんですが、それが縁で妻と巡り会うことができました」


「...」


「その任務中、僕は強い敵と遭遇し妻と仲間を犠牲にして命、命からがら逃げ帰ったんです」


「....そうですか」


「この歌は、今言っても遅いのに僕が思っていることなんです」


「お時間になりました。最後にこの歌を聞いてもらいましょう」


「フリーズで夢の傷痕聞いてください」





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 アクマの俺が きみを護ると誓うなら


 側にいるのは きみを堕とすためだけ


 こわれそうな、ゆめ抱え続け


 破滅に導かれる


 歴史 過去に嘆き叫ぶ


 red night and endless tears


 ひとであったときにゆめを 愛し続けたその代償は


 まっすぐなゆめは君を引きちぎる


 悲鳴あげるおれの心 愛を信じてる


 輝くゆめを怨み続けてる


 アクマになってできることは きみを護り続けることさ


 だけど―――


 きみは


 絶望さえ霞んでいく 慟哭の棺中にいる いつも


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「SEENAのこれが歌や!終わりの時間となってしまいました」


「ルシファー(仮)さん今日はありがとうございました」


「こちらこそ、ありがとうございました」


「「ではまた来週」」











「「「お疲れ様でした」」」


「お疲れ様〜」


 収録が終わった。そういえば、そろそろあれの時期だ。上層部がうるさいから選ぶだけ選ぶか。


「ここに来るのは3回目くらいか?」


 真っ白な部屋の中で、服を着た男性が立ったまま、目を閉じて微動だににない。目覚めさせるかぁ。


 まるで人形のように精巧な顔立ちに、感受性豊かな子供達は、怖がるかもしれない。俺も初めての時は怖かったな。


 黒い羽根、この羽根はあまり使いたくない。


 ―――血で黒く染めた白い羽根を人の頭に、載せた。


 男性が青白く発光する。


 発光した瞬間に男性は目覚めた。


「黒イ羽、20年ブリ」


「そうだな、俺は初めてだ」


 俺が手をかざし、黒い羽は三枚の手紙に変換させる。


「候補者モ多イ」


「ああ、よろしく、ライズ」


「サア、届ヨウ」








 ライズが訪れたのは管轄外世界。





「こんにちわ〜フェイトさん宛に速達です」


「はぁ〜い」


「誰からかしら?(宛名は聖王教会!?)」


「サインお願いします」


「はい」


「ありがとうございます」「フェイト〜、お手紙よ〜」


「はい」


「何て書いてあったの?」「信愛の騎士って人からなんだけど」


「うんうん」


「聖王の誕生祭に催す劇の聖王役の候補になったって書いてあるよ」


「えっ、本当なの? 嘘じゃないのフェイト?!」


「本当だよ。」


「凄いわ。良かったわねフェイト」


「えっ、そうなの?」


「何たって、信愛の騎士直筆の手紙よ! 聖王役は貰ったも同じよ」


「信愛の騎士ってのはそんなに凄いのかい?」


「聖王を最期まで護ったとされる最強の騎士の称号よ!」


「それに、フェイト。候補に選ばれるの、管理局では初よ!」


「えぇー!」


「アルフ、どうしよう」


「フェイトがしたいようにすればいいんじゃない」


「ふふ、それに、シグナムさん達に報告してらっしゃい。凄いことになるから」
「どうしたのだ?て....フェイト」


「実は....」


「まじかよ。すげーじゃんか」


「ぴんぽ〜ん」


「はい」


「シグナムさん宛に速達です」


「ありがとうございました」


「....」


「シグナム? どうしたのっ!?」


「何で泣いてるんだよ」


「すまない、驚いてしまって」


「うぇっ、シグナムも選ばれたんかよ」


「高町さん、速達です」


「は〜い」


「ふぇ? 何で聖王教会から美沙斗さん宛」


「美沙斗さん」


「どうしたんだい? なのは」


「ミットチルダの聖王教会からお手紙が来てるの」


「私にかい?」


「うん。読んでもいいかな?」


「いいよ。私は日本語以外は読めないからね」


「あっ、日本語のもあるよ。はい」


「ありがとう」


「....私に劇なんてできないて思うが」


「信愛の騎士って人聞いたことないんだけどなぁ」


「どうやらお二人ともよくわからないそうなので説明いたしましょう」


「お願いします」
「お願いするよ」


「なのは様は管理局で働いておられるので聖王教会についての説明は省かせてもらいます」


「はい」


「わかった。なのは、後で説明してくれ」


「信愛の騎士は騎士の称号の中でも最も最高位の称号であります。その力は聖王に匹敵すると言われたりしてます。また、聖王を最期
まで護り、最後に自らの手で殺めたとされます。死者を数日程蘇らせるレアスキルを持っていることもあり、騎士の中では最も誇らし
い称号でありながら最も不名誉な称号であります」


「聖王誕生祭というのは?」


「この世界でいうクリスマスと考えてよろしいかと」


「でも、何で劇を?」


「さあ? 私ににはわかりませんが。因みにこの劇は毎年やると言うわけではありません」


「そうなんですか?」


「条件として、歴代の信愛騎士が男性で独身であること。それと候補者が信愛の騎士が出す試練に対して結果を出すこと何です」


「その試練って何だったんですか?」


「前回は、20年前、候補者2人に同じ試練が与えられました。」


「ごくっ」


「自分の得意な武術で信愛の騎士と戦うこと」


「一人は薙刀、もう一人は細身の直剣で、信愛の騎士は、2人同時に相手をなされました。2人と同じ武器で」


「それで結果はどうなったんだい?」


「二人とも負けましたが、細身の直剣の女性が一撃与えたので、その女性が聖王の役を射止めました」


「信愛の騎士さんて強いなの」


「ええ、強いです。その後は信愛の騎士がいなかったり、候補者がいなかったり、試練に結果を出せなかったりで催すことはなかった
のです」


「なるほど」


「そろそろおいとまします」


「ありがとうこまざいました」


「ありがとう」


「いえいえ、さようなら」











シグナムside


 私はこれ以上ない程緊張していた。


 最高の騎士と会えるのだ。緊張しない方が可笑しいと言えよう。


 会合の場所が地球の埼玉県の廃校だということに何も疑問を感じることができなかった。


side out











 廃校の中は魔法の明るさに満ちている。


 夜であるのに日中のように明るかった。


「はぁ〜、審査会場だ」


 若い青年がその中心で立っていた。


 とてもダルそうな感じで、目の焦点をこの場所にいるすべての人に会わせようとはしなかった。


 服装はジーパンにジージャン。


 とても騎士とは思えないが保有する魔力は膨大であることをフェイトとシグナムは感じることができた。


 唯一、魔力の感じることが出来ない美沙斗は、左足首を捻挫した時のように折り曲げて立っている青年に痛くないのかと問いかけよ
うか考えていた。


「聖王教会信愛の騎士ヒョウ・フシタミだ」


「は、はじめまして。管理局執務官フェイト・T・ハラオウンです」


「し、守護騎士シグナムです。い、以後お見知りおきを」


「御神美沙斗、剣士だ」


 それぞれが名前を名乗るだけの自己紹介をする。シグナムは緊張の為か狙っているのか、某悪魔を召喚して戦うゲームに出てくる、
悪魔が誕生した時の挨拶のようだ。


「第一試験は、まずこの試験を受けるか受けないか決めてもらう」


「どういうことだい?」


「この試験は、命を失うことも、自分の大切なものを失うこともあることだ」


 微妙に言葉の言い回しが違うのは、まだ日本語に慣れていないからだろうか。


「受けます」


「もちろん受けてたちます」


「受けよう」


「はぁ、決断早いな。1次試験合格」


「へっ?」


「そういうことか」


「....心理学的だ」


 美沙斗の高校中退したのに、らしからない返答。


「2次試験は....この体育館一体の中に張った特殊な結界を探り当てること。まあ簡単に見つかるところにあるが」


 シグナムとフェイトはサーチ系の魔法を使用しているが、全くヒットしないのか厳しい表情を見せる。


 対して美沙斗は自分の足元を見ていた。


「私が来たときにはなかった筈だが」


 地面に小さく魔法陣が描かれていた。


「一人だけか。因みに結界の起点になっているそれを傷つけると最終試験の始まりだ」


「執務官リボンに、守護騎士は剣にある。失格だが、試験は受けてもいいよ」


「合格者を発表する。美沙斗さんだ」


「......そうか」


「くっ」


「...」  三人共に合格者が誰かということは聞いてはいるが、心はここに在らずといった状況だった。


「評価は聞く?」


「聞かせてもらうぞ」
「話せ」


「.....」


 初めて会った時とは違い、剣呑な態度をとるシグナム。


 美沙斗は言葉を放つのすら辛いのか、いつもより言葉数が少ない。


 フェイトに至っては無言である。


「フェイトはアリシアの未来存在と世界に非難、現役のプレシアとの戦闘」


「...」


「元々自分を出さない所謂優柔不断なところが明確に外には出ていないが、中立になることから馬鹿げている。あ〜、要は力を持ちな
がら優柔不断な危険な奴」


「戦闘からもバクチまがいの型ばかりで弱点を補っているみたいだが、改善してはいない」


「シグシグは簡単。はやて主義万歳で、悪いことがあろうとも気付きもしない。自分の記憶に溺れさせたみたが変わらなかったな」


「美沙斗さん、貴女には事実を見せるために認識を戻しました」


「....美由希も恭也も死んでいる」


「ええ、美由希はあなたの手で、恭也は、爆弾テロで。合格基準は俺が納得できるかなんで、俺と同じ既婚者っていうのと性格
で選ばせてもらいましたが」


「あの後の美由希と恭也は何者だ」


「恭也の直接の死因は、爆弾の爆発の余波。まあ、出血も多く、外傷も致命傷はずれているとしても重傷にかわりないので。頭だけは
無事だが美由希は心臓ひと突き。脳死が確定してたから生きてる方がおかしいな」


「....」


「今いる恭也は俺がトレースしている。つまり、俺が恭也に化けている。そして、美由希は、体は本物で擬似人格AI、つまり、レイジ
ングハートと同じディバイスが美由希だ」




『snow rain』の設定


 ある作者が書いたものの原本。本来の名前は『dark rain』とされ、唯一、闇の書の悲劇を語った物語とされる。


それ自体にロストロギアとしての力は高くないとされているが、物語が記されているだけなのに、分類がディバイスであることは不明とされている。


氷「転送! ワープ! 歓喜の声がき〜こえるよ。転送!ワープ。乙女達よも〜え上がれぇ〜」


恭也「これは、聖王誕生祭が近づいた時にだけに働く、聖王教会言伝の騎士の物語である。」


氷「ライズのテーマソングを特撮風に!」


恭也「……」




聖王誕生祭で美沙斗が芝居する事になったのか。
美姫 「そうみたいね。無事に演じられるかしら」
どうなる事やら。
美姫 「それじゃあ今回はこの辺で」
ではでは。



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